青い瞳のエミーナ 18 最終回

Posted by 松長良樹 on 08.2011 0 comments 0 trackback
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 エミーナの手を取り勢いよく駆け出そうとしたがドレスの裾が邪魔で思うように走れ無い。高林が力任せにドレスの裾を腰から引きちぎった。廊下を抜け中庭を突っ切る。エミーナは恐怖に駆られた顔をしたがすぐに高林に従った。覚悟をした眼をしていた。
「誰か来い。おーいやばい奴がいるぞ!」
 甲田が気が触れたように叫んだ。高林を追ってきた黒人のボディガードが襲い掛かろうとした。その時始めて高林の持つ銃が火を噴いた。
 黒人の脚に命中しその場に倒れこんだ。走った。とにかく全力で走った。エミーナも矢のように走った。無我夢中であった。

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青い瞳のエミーナ 17

Posted by 松長良樹 on 07.2011 0 comments 0 trackback
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 ホテルの正面の大理石の階段を数歩上がると、受付らしいテーブルが容易されていた。背の高い頑強そうな黒人が二人いる。薄いサングラスにスーツ姿だ。背後には尋常でない雰囲気の男達が数人控えていた。
 黒人は高林の胸に付けられた身分証を確認した。顔写真とネームを一瞥する。
「どうぞ」
 低い声をだして招くような手振りをした。勿論身分証は西条の組織が偽造したものだ。中庭に進むとそこはパーティー会場だった。テーブルがいくつも並べられ、豪勢な料理や酒がところ狭しと並べられていた。
 官僚や政治家らしい紳士淑女たちが雑談を楽しんでいた。高林の知っている日本の政治家の顔もその中に混じっていた。

青い瞳のエミーナ 16

Posted by 松長良樹 on 06.2011 0 comments 0 trackback
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 澄んだ大気にシンデレラの見上げたような夜空が貼り付いていた。
 肌寒い夜風がタキシード姿の高林の頬に当たった。緊張と焦りで高林の顔は硬直していたが誰もそれを気に留めるでもなかった。
 心理学でいうところのマイナスとマイナスの葛藤である。人殺しなんて嫌だが、エミーナが酷い目にあわされるのも嫌だ。高林は苦汁を飲ませれたような思いの渦中にいた。冷や汗が首筋を流れる。
 しかし夜の月は異様な情念をはらむように蒼く、それがなぜか記憶の中のエミーナの身体の香しい匂いと混ざり合って、なんとも切ないほどの苦悩を高林に強いていた。


青い瞳のエミーナ 15

Posted by 松長良樹 on 05.2011 0 comments 0 trackback
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 その殺風景な部屋の中で高林は何度もエミーナの夢を見た。
 高林の頭の中でエミーナがあどけない罪のない顔で微笑んでいた。エミーナが拷問されそうになった時、高林は自分の身を切られるような思いがした。
 もはやそれは記憶を無くした、頭の変な娘への同情などではなかった。知らぬ間に高林はエミーナを好きになっていたのだ。何とも切ない気持ちが自分の中に湧き上がってくる。
 エミーナのことが気になる。心配だ。言い知れない慕情が高林の胸のうちに募った。

青い瞳のエミーナ 14

Posted by 松長良樹 on 04.2011 0 comments 0 trackback
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「そういう気になってくれれば君はわしらの協力者と言う事だ。丁重に扱うよ」
 西条が異様な笑い顔をつくった。
「君とエミーナは別の部屋にいてもらう。仕事が済むまでは君を監視させてもらう。変な気は起こさんでくれよ。わしは意外に気が短いんじゃ」
「いつやるんですか」
 高林が恐る恐る訊いた。
「まだ一週間ほど先だ。高林君を部屋に連れて行け」
 西条がサングラスの男に命令した。
「エミーナを放してあげてください」
 高林が心配そうに言った。

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