質問する女

Posted by 松長良樹 on 08.2015 0 comments 0 trackback
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 小雨に煙る宵である。勤め帰りの私は折り畳みの傘をカバンから出そうか出すまいかと思案しながら小走りに家路に急いでいた。
 夕暮れ時の都会のネオンが、街灯に反射して路面にきらきら映っている。やがて路地に入り閑散とした寂しい路にでる。もうしばらくで我が家だ。
「ねえ、もしもし」
 その声は不意に私の後ろの方からした。

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忌まわしき復讐

Posted by 松長良樹 on 09.2013 0 comments 0 trackback
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 街灯に霧のかかる湿った夕べの事であった。私は懐かしい女優、鮫島美佐江の写真展にいたのである。というのも私は若い頃、鮫島美佐江に惹かれて彼女の主演映画を何本も見ていた。それが回顧展をやっていると知人に教えられて、この会場に足を運んだ理由であった。
 彼女、鮫島美佐江は当時もう三十近くになり、美しさに磨きがかかり、益々円熟味を増そうという矢先、忽然とその姿を大衆の前から消した。今から三十年近くも昔の話であるが、その失踪の不思議もあって私はその神秘的な彼女のシネマ写真に魅入っていたのである。

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Black Dog 5 最終回

Posted by 松長良樹 on 23.2011 0 comments 0 trackback
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 彼が城の窓から外を見た時に異変が起こった。城が揺れていた。まるでエレベーターに乗ったような感覚だ。
 地鳴りを伴って城は超巨大な砂丘に今にも呑み込まれようとしているのだ。それを知った雅志は何度か転びそうになりながらも足早に城から躍り出た。
 外には砂が吹いていた。激しい颶風が砂を舞い上げている。細かい砂の粒子が雅志の顔面を叩いた。それでも何とか雅志は砂丘の頂上付近の岩盤みたいな部分に這って行った。死に物狂いである。            

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Black Dog 4

Posted by 松長良樹 on 22.2011 0 comments 0 trackback
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 ――ちくしょー!!―― 
 雅志はハンドルを数回叩いた。すると目も眩むような朝日が突然彼の眼をさした。いつの間にか夜が明けていたのだ。
 車が砂の中でついに停車するとそこには砂が吹いていた。どういう訳かそこは砂丘だった。それもまるでこの世ではないような限りない砂の海だ。ウインドウ越しに犬の姿を探したが見当たらない。あたりを執拗に確認してからドアを開ける。
 いきなり砂が吹き付けてきて視界が霞む。それでも雅志はふらりと外に出て歩き始めた。

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Black Dog 3

Posted by 松長良樹 on 21.2011 0 comments 0 trackback
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 雅志は海岸沿いの路肩にカマロをゆっくりと停車させた。しばらく指を噛んで考えにふける。そして懸命に最良の策を考える。
 ――とにかくこの車を始末しなきゃならない。そして車を誰かに盗まれたとでもいえばいい。この車を処分しないと危ない……。
 その時である。背後に不吉な気配を感じて無意識に振り返り、雅志は頬を引きつらせた。あの犬がこっちに向かって駆けてくるのだ。なんという恐ろしいスタミナであろうか。とうに10キロは走ったというのに巨犬には疲労の色さえ見えない。

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