幽霊写真

Posted by 松長良樹 on 20.2013 0 comments 0 trackback
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 夜である。高田馬場にある居酒屋に大学生が五人いる。その中でシズエと言う女子は、体質からか心霊的でかなり怖い体験を色々経験してきたらしい。だから飲み会ではいつも彼女の不思議な体験談で盛り上がる。
「この前、って言っても、もう何年も前だけどさあ」
 話し出したシズエの声はいくぶんハスキーだ。
「うん。そんなに前に何があったの?」
 シズエの怖い話を待っていたように、光冶、ミサコ、ナミ、敦の四人が聞き耳を立てる。
「東北のある飛び込みの名所に行った時の話だけど」
「飛び込みって、死んじゃう飛び込み?」

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ダークサイド 5 少年の秘密

Posted by 松長良樹 on 18.2011 0 comments 0 trackback
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 夕焼けが綺麗だった。山道から林を抜けると渓流があった。
 岸辺に小さな男の子が佇んでいた。近付くとしくしくと泣いている。
「どうしたの?」
 と私が問いかけると
「僕おへそが無いんだ」
 と答えた。
「へそがない? まさかそんな……。ところで君誰なの?」
 私がそう問うとその子は意外に元気にこう答えた。
「僕、桃太郎!!」
 私は驚いてただじっと男の子を見つめていた。


                    おしまい。

ダークサイド 4 鏡

Posted by 松長良樹 on 17.2011 0 comments 0 trackback
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 散歩中に裏通りで不思議な鏡店を見つけた。
 店の中に入ると沢山の鏡が並んでいる。
 壁に掛けられたフレームミラー。スタンドミラー。鏡台。三面鏡。様々な鏡が店中に所狭しと並んでいる。しかしなぜか、店員の姿はない。
 色々見ていると身の丈ほどある黒い鏡があった。縁が黒いのではない。鏡面が黒いのだ。
 珍しいと思い近付くと鏡は深い闇を映している。光を反射しないみたいだ。
 好奇心に駆られて手を差し伸べると、手は鏡の中に見る間に吸い込まれた。
 怖くなって手を引っ込めた瞬間、白い手がまさぐるように鏡から出てきた……。


                         おしまい。

ダークサイド 3 不老の人

Posted by 松長良樹 on 16.2011 2 comments 0 trackback
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 秋の日の午後。私は枯葉の絨毯を踏みしめて並木道を歩いていた。
 すると葉巻を吹かす老人がそこに静かに佇んでいる。品格があり穏やかな眼をしていた。
 私を見て微笑むので私も軽く微笑んでいた。
「あなた、長生きがしたいかね?」
 と老人が、だしぬけにが訊く。
「えっ、はあ」
 私はあいまいな返事をした。
「わしはもう200歳になろうとしておる」
 老人はそう言って自分の足元に視線を送った。
 
 彼の脚からは根が生えて地面に刺さっていた……。

                      おしまい。

ダークサイド 2  夜空に

Posted by 松長良樹 on 15.2011 0 comments 0 trackback
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 夜だった。満天の星々がビロードの黒布にびっしりと貼り付いていた。
 公園に子供が数人いた。小学生だろう。女の子も混ざっていた。
 公園の一角の砂利の山があった。
 見ていると子供達がその砂利石を思い切り空に投げつけている。一生懸命だった。
「君たち、いったいなにしてるの?」
 好奇心にかられてそう訊いてみると甲高い声で子供たちが答えた。
「今ねえ、ロケットに石ぶつけてんだ!」
 私は返す言葉もなかった
 空中で石が何かにはじける音がした。金属的な音だった。
 夜空をまじまじと仰ぎ見た私は言葉も出なかった。
 銀色の、ビルほどもあるロケットがそこに浮かんでいた……。

                   おしまい。
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