青い瞳のエミーナ 14

Posted by 松長良樹 on 04.2011 0 comments 0 trackback
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「そういう気になってくれれば君はわしらの協力者と言う事だ。丁重に扱うよ」
 西条が異様な笑い顔をつくった。
「君とエミーナは別の部屋にいてもらう。仕事が済むまでは君を監視させてもらう。変な気は起こさんでくれよ。わしは意外に気が短いんじゃ」
「いつやるんですか」
 高林が恐る恐る訊いた。
「まだ一週間ほど先だ。高林君を部屋に連れて行け」
 西条がサングラスの男に命令した。
「エミーナを放してあげてください」
 高林が心配そうに言った。
「わかってるさ。エミーナにはなにもしない。服だって綺麗なもの着せておくよ」
 高林が青いネクタイの男とドアから出て行くのを見届けると、赤いネクタイの男が西条に話しかけた。
「意見を言うようですが……」
「遠慮せず言って見たまえ」
 鋭い眼で西条が高林の出て行ったドアを見つめている。
「あんながきに甲田がやれるんですか。どうも不安です」
「やれるさ。やらせなきゃならん」
「……」
「馬鹿とハサミは使い方だよ。それに出来なかった時の手は打ってある」
「もし甲田をやれたとしたら、娘とあいつを解放するんですか」
「ははははっ。まさか、そんな訳がないじゃないか。あのチョーカーをなぜ娘から外さないかわからんのか?」
「――というと」
「成功したら二人仲良くドカーンだよ、証拠は残せまい」
 西条が全く平然と言って胸ポケットから取り出したタバコに火を付けた。

  *  *

 高林は薄暗い部屋の中をぼんやりと眺めていたが、やがて床に力なく座り込んでしまった。気力の萎えた顔だ。壁は分厚いコンクリートで出来ていた。
 床には薄いカーペットが敷かれてあるだけだった。到底脱出不可能な部屋だった。
 天井は意外と低かった。天井付近の壁に通風孔があり、頑丈そうな金網が張ってある。そこから暖かい空気が流れ込んでくる。暖房のようだった。ベッドに横たわって眼を閉じる。寝られたものではない。興奮状態が維持されたままだ。
(あの時エミーナに関わらなければこんな羽目にはならなかった)後悔が喉を絞め付けるようだった。
(暗殺など出来ない。しかしこうなったのも、エミーナを自宅に連れていった俺の責任だ)そんな考えが何度も高林の頭の中を巡った。
 高林は何時間も化石のようにベッドに横たわっていた。涙が出そうになった。
 唇を噛み締めると今度は西条に対する怒りが胸に込み上げてきた。(なんとしても逃げなければならない)と思った。
 がしゃりと音がして重い鉄のドアが半分開いた。眼を凝らすとパンとミルクが皿の上にのって差し出された。すぐに又閉まった……。


                      つづく

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