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恨めしや パートⅢ

Posted by 松長良樹 on 09.2011 2 comments 0 trackback
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 ――彼は幽霊だ。
 と言うよりいつの間にか幽霊になったと言った方が正しい。もともと彼は歴史資料館に掛けられた幽霊画だったのだが、いつの頃からか意識が生まれ、夜になると絵から抜け出て人を脅かす本物の幽霊になったのだ。
 なにしろ描いたのが江戸中期の画伯、円山応挙だからその辺を考えるとたいして不思議でもない。
 人を脅かすのは実に愉快であった。彼は人の驚いた顔を見るのが大好きであった。彼は人を脅かすのが楽しくて仕方がないのだ。
 元々単なる「絵」であった彼は性質の悪い霊ではなかった。人に恨みがあるわけでも憎いわけでもない。ただ人を脅かすのが面白いのだ。
 みんな暗がりからいきなり飛び出す彼を見ると叫んだり、慌てふためいて逃げ惑う。
 中には腰を抜かしてその場から動けない者までいる。特に一見強そうに見える紳士が彼と出くわし、血相変えて逃げ惑う様は滑稽でたまらなく楽しい。ちょっと人の悪い幽霊だともいえなくもなかった。
 しかし、大の大人が彼を見て気絶するのは彼にとっては爽快なのだ。

 だが、最近変なのだった。彼を見ても誰も怖がらないのだ。
 怖がるどころか笑い転げるのだ。彼にしてみれば実に不愉快きわまりない。この前など小学生が彼を見て、けたけたと笑い転げていた。
 彼の幽霊としてのプライドが著しく傷つけられた。どうしたというのだろう?
 どんなに怖そうな表情をつくってもみんな彼を指差して笑った。

 ある時、歴史資料館の守衛は、幽霊画の前まで来て立ち止まり舌打ちした。
 そして困った顔で絵を眺めて独り言をもらした。
「誰か幽霊画にいたずら描きした奴がいるな。トンボめがねにちょび髭か、これじゃ幽霊と言うより、むしろ喜劇役者じゃないか……」

                  おしまい。
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古文の有名な話にありますよね。
偉い人が神社にみんなで行った時に、狛犬が2つ、背を向けて並んでいた。
それを特別な意味だ、と思って感涙の涙を流しながら神主さんの所へ
話を聞くと、それは悪童の仕業だ、っと言いながら狛犬を元の配置に戻す・・・

悪ガキがこんなことをやるのは世の常、なんですね。幽霊人間、ともども
いい迷惑。
2011.01.09 13:16 | URL | hiro1468 #TJdQLek. [edit]
hiro 1468さん コメントありがとうございます。
まあ、イタズラはいい迷惑なんですけど、この話ではそれがオチなので
仕方ないというか、実際にこんなことをしたら即、逮捕されそうです。
2011.01.09 22:09 | URL | 松長良樹 #- [edit]


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