三兄弟の喜悲劇

Posted by 松長良樹 on 25.2011 0 comments 0 trackback
25634_convert_20110225212725.jpg

 ――これは随分と昔の話です。
 はるか南方に古代ペルシャ帝国みたいな国がありまして、そこに三兄弟が住んでおりました。別に特別な兄弟ではなくごく普通の兄弟です。
 兄弟はあまり裕福ではなく、どちらかというと貧乏のほうでした。
 三人ともまだ若くお金がないのでまだ妻も娶れませんでした。この時代の適齢期は現代よりかなり早かったのにです。
 長男は背が高くおおらかで実に前向きな性格をしていました。
 次男はひょうきん者で人当たりが良く、明るい性格をしていました。
 三男の末子は信心深く、真面目でしかも誠実な性格をしていました。
 ある時兄弟が三人で船の掃除の仕事をしていますと、古びたランプを船底で拾いました。
「兄貴、このランプが魔法のランプだといいな」
 次男のハマドが冗談まじりでそう言いますと、それがなんと本当の、そうです。かの噂に高い本物の魔法のランプだったのです。
 なぜ本物か分かったかというと、長男のハラームがランプを擦りますとそこに魔人が現れたからです。魔人は太いよく通る声で言いました。
「お前達の望みを三つ叶えてやろう! なんでもいいからの三つの願いを言ってみろ」
 兄弟は嬉しくなり、それぞれが一つずつ願いを言うことにしました。
 長男のハラームは即座に有り余るほどの財宝が欲しいと言いました。次男のハマドは少しだけ考え、王の息子になって一生何不自由なく遊んで暮らしたいと言いました。
「よかろう。して、お前は何が望みじゃ?」
 魔人は中々答えない三男に問いただしました。すると三男のアリーは、空恐ろしいという顔をしてこう言ったのです。
「ああ、嘆かわしい。何と身勝手で理不尽な兄たちの願いでありましょうか。そんな願いが叶えられたら二人に人間としての成長など望めるものですか。そして二人はきっと屑のような人間に成り下がるでしょう。それは神への冒涜でもあります。即刻その願いを却下してはいただけませんでしょうか」
 三男のアリーは利口でその願いを魔人の耳元で囁くように言ったのです。

 魔人が深く頷くと三人が三人共、それぞれの笑顔をつくりました。
 ニッコリとそれは嬉しそうに……。

                      おしまい。
スポンサーサイト


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://kitunosuke8.blog33.fc2.com/tb.php/149-d5dbce10
▲ top