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友愛の天使、宇宙より来たる!?

Posted by 松長良樹 on 28.2011 0 comments 0 trackback
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 何千光年だか、何億光年だか正確には判らない。とにかくとんでもない遠方からその宇宙船はやって来た。
 地球の知識人の大半は地球外の生命の存在を信じていたが、存在を確認するには、文明の誕生と繁栄、滅亡の時期が始まりであれ、終わりであれ、同時期に重ならなければならない為、極めて0に近いとされていたのでそれはまさに邂逅(かいこう)と言えた。
 彼らがどこの銀河のどこの星から来て、目的がなにか、もっともらしく語る学者もいたが、実際のところ、ほとんど何も解らなかった。
 ただ、アメリカのグランドキャニオン付近に宇宙船が着陸したので、NASAの宇宙科学者とペンタゴンの軍人たちのチームが宇宙人との接触の為に結成され、細心の注意をはらいつつ、宇宙人と面会する運びとなった。
 そんな矢先NASAのコンピュータに宇宙人から電子メールが送られてきた。

 内容をまとめるとこんな風だった。
『我々は地球人に対して敵意など全くない。同じ高等生物として友好的な関係を築きたいし、今後とも有意義な関係を望む』
 それを読んだNASAの関係者たちは手をたたいて喜んだ。涙ぐむ人達もいたぐらいだ。
 しかし次のメールを読んで彼らの表情が曇った。
『ただ深刻な問題がある。我々の美しい姿が君たちの目にはとても奇怪に、或いは醜悪に映るらしく、君たちの軟弱な精神が破壊されてしまうというデータが出ている。我々は君たちの発狂する姿を見るのは忍びない』
 というメールだった。

 しかし地球の科学者達はそれを信じなかった。というか信じたくなかった。こんなメールは、全部嘘っぱちだと一笑に伏した訳ではなかったが、相手を見ただけで気が違うと言う、あまりにも荒唐無稽なおとぎ話を誰も信じなかったのである。
 さすがに一部の慎重で懸命な科学者達は彼らとの接触を懸念したが、血気盛んな軍人達は口を揃えてこう言ったのである。
『深遠なる宇宙よりの使者をこのまま宇宙に帰してたまるか』
 そして軍人達の一派がその積極性に物を言わせ彼らを地球に招き入れてしまったのである。
 ――もちろん武装はしていたのだが。

 予想外の事が起こった。彼らは実に可愛い顔をしていた。小動物系の可愛らしさだ。愛嬌があり、従順で常識があった。おまけに親切でやさしかった。
 すぐに彼らは人間社会に迎え入れられた。
『友愛の天使、宇宙より来たる!』
 こんな記事が新聞の一面を飾った。彼らは人類の食料危機を救い、環境破壊をくい止め、癌の特効薬を人類に提供した。人類は彼らに感謝し、益々信頼し、彼らとの友好関係は未来永劫に続くようであった。

 *  *
 
 ある時交通事故で長い間意識のなかった男が意識を取り戻した。
 一瞬男は意識を取り戻した事を後悔したかもしれない。
 なぜなら、彼の目前で外科医と看護師達が真っ裸で踊り狂っていたのだから……。
「やあ、こんにちは。ベイビー」
 そばで宇宙人がそう言った。

 そして彼らを見て「この化け物!!」と叫んだのは唯一、精神病院の患者のそれもごく一部の人間だけであった。

                     おしまい。

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