黒い笑い

Posted by 松長良樹 on 12.2011 0 comments 0 trackback
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 やかんのような頭をした宇宙人が言った。
「地球人よ。よくこんな遠い星まで来られましたね……」
「は、はい」
 宇宙服をまだ脱いでもいない人間が答えた。
 ここは地球を何万光年も離れた見知らぬ惑星。人類は時空連鎖体を潜ってここに到着したのだ。
 次いで宇宙人が質問した。
「何の為に来たんですか?」
「宇宙の真理・神秘の究明とでも申しましょうか」
「なるほど」
 四肢のひょろ長い宇宙人が答えた。
「わかりました。宇宙に関しての知識をあなた方にお教えしましょう。我々は文明を持ってから2億年が経ちます」
 人間は感動したらしく、来た甲斐があったという表情をした。
「ぜひ、あなたがたの知識を私達に分けてください」
「いいですとも」
 やかん頭がほほえんで頷いた。そして暫らく眼を閉じると人間の心を読んだかのようにこう言った。
「これは、これは、酷いものだ」
「……」
「あなたがたは星が丸いと思っていたのですか」
 人間がとても複雑な表情をつくった。
「球という概念は物理的な帳尻を合わすための便宜的な解釈であり、真理ではない」
「意味が解りかねますが」
 二の句がつげない地球人。
「三次元では星を仮に球としてとらえているだけなのです。そうしないと世界の果てに大きな滝でも作らなければ無限に地表が続くことになる」
「……」
「我々の星は三角だよ」
 やかん頭が真面目に言った。
「はあ…?」
 地球人が答えに困った。
「はははははははっ。うっひひひひひーっ。ほーほっほっほーほっほ」
 やかん頭が突然、腹を抱えて笑い出した。かなり長い時間だ。
「ははははっ、冗談ですよ。冗談」
 宇宙人が地球人の肩に手を掛けてそう言った。
「我々をからかっているのですか」
 地球人が憮然とした表情になった。
「いやあ、君たちが余りに無知な為につい……。悪く思わないでください、しかし君らのような種族が、よくもまあ時空連鎖体を探し当てたね」
「探したというより、知らぬ間に時空を超越してしまったらしいのです」
「――そうだろう、恐るべき偶然というやつだろうな」

 暫らく間が空いた後、やかん頭がえらく真面目な顔をして言った。
「では一つだけ、わかり易い重大な真理をお話しましょう」
「……」
 やかん頭がまじまじと地球人を見つめてこう言った。
「君たちは、我々の食料に向いている」
 やかん頭の口は意外に大きく開くと鮫のような歯が無数に並んでいた。

                         おしまい。

                      

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