愛しき君を食す 6

Posted by 松長良樹 on 03.2011 0 comments 0 trackback
 それがある時、不意に私の妹の優華が私たちの屋敷を訪れたのです。彼女はとても明るい笑顔を見せて私たちのもとに婚約の報告にやってきたのです。とても久しぶりだった私達は四方山話に花を咲かせました。
 彼女はとてもきれいになっていました。健康美が尚一層輝いていたのです。
 私たちは元々仲がよかったものですから、妹の自慢げな顔をみながら私は妹を祝福しました。そこに新太郎も帰宅して三人は意外なほどに話が弾み、新太郎は妹に泊まっていくように勧めました。新太郎は今夜は僕が料理を作ると言って喜んでいました。それはそれは嬉しそうに。

 それがおかしなことにそれから三日して母から電話があり、優華が戻らないけどお前のところか、というのです。私は一昨日に帰ったはずだと言いましたが妹の行き場所は皆目見当がつかなかったのです。とても心配でした。もちろん妹の友達や知り合いにはすべて問い合わせました。妹のフィアンセも気が気ではなかったと思います。そしてとうとう警察に捜索願いを出したのです。
 それから暫らく経ったある晩の事です。私は帰宅の遅い新太郎を待っていました。妹の行方不明の件もあって私は早く新太郎に帰ってきて欲しかったのです。しかし新太郎は午前零時になろうというのにまだ戻りませんでした。
 その時、いきなり地下室でがたがたという物音がしたのです。私たちの屋敷は大きく三階建てで地下にはワイン貯蔵庫がありました。そして業務用冷蔵庫まで完備していました。私は怖かったのですが野良ネコでも地下室に入ったのかと思い、恐る恐る地下の階段を下って行きました。
 そこは私が滅多に入らない場所で、かび臭い臭気が鼻をつきました。階段の途中の蛍光灯がちかちかと点滅していました。
 それがまた不気味でした。私はこの時ぐらい蛍光灯を交換しておけばよかったと後悔したことはありません。やっと下について私は薄暗い地下室の照明をいっぺんにつけました……。 

                            つづく 
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