―不死身―

Posted by 松長良樹 on 23.2010 0 comments 0 trackback
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 この薬を発明したのは天才的な科学者兄弟であった。いや、天才的というのは当たらない。兄弟はまさに天才であった。
 しかし、残念ながら彼らに関する公的な記憶はなに一つ残ってはいない。
 彼らの発明した不死身の経口薬は人体をあらゆる危機から回避し、薬を摂取した兄弟に以下の肉体的特徴を与えた。
 地球上の全ての細菌やウイルスに対して免疫。焼かれても、切られても,潰されても忽ち蘇生してしまう細胞。どんな衝撃をも吸収してしまう筋肉組織。絶対零度にも耐えられる皮下脂肪。老いを拒絶するDNAの合成。酸素がなくても生きられる無呼吸生存能力。
 
 ――彼らは高らかに叫んだ。我は不死身なのだと。
 名声を望んだ彼らは公の場でそれを認められたいと思った。
 
 兄のほうは核実験の際にわざと現場にいて不死身を証明しようとしたのだが、爆発の際、猛烈な爆風でなんと太陽まで飛ばされ、今なお消息不明のまま。
 弟はというと兄の名誉挽回の為、絶壁から海に飛び込んだのはいいがカナズチであることを忘れていたのか、今なお太平洋でおぼれ続けているらしい……。

                                おしまい。

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