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売られていた地球 4

Posted by 松長良樹 on 02.2011 0 comments 0 trackback
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 宇宙船にて

 暗い空間に浮かぶ宇宙船。わずかに赤みを帯びた銀色の胴体が太陽光を反射してきらりと輝いた。
「ソドニック博士、ソドニック……」
「ダーリンと呼べと教えただろうが、このおばかコンピュータが」
 ソドニックはコックピットから星々を眺めて憂鬱そうに顔をしかめた。林立した計器類を背に酒瓶が横に転がっている。
「ダーリン。あなたは自分が何をしたか覚えていますか?」
 声の主は船内コンピュータ『バル』であり、彼女?は、宇宙船の全ての機器の管理者であり、分析システムであり、操舵手でもあった。
「さあな、よく覚えていないよ。頭がガンガンするだけだ」
「端的に言ってあなたは地球を売ったのですよ」
「な、なにっ!いつのことだ。それは?」
「今から約二百時間ほど前の事です」
「誰に?」
「宇宙人です。手足の長い連中ですよ」
「冗談だろ!」
「本当に覚えていないのですか?」
「おぼえていない」
「嘆かわしい。あなたは酒に酔ったまま契約をしたのです。あなたの胸ポケットのは小切手で三兆スペーシアが入っていますよ」
 胸に手を当ててソドニックがしばらく考え込んだ。
「もしかして…」
 彼は少し取り乱した。
「――ああ、私は。まさか夢だろ! よく思い出せんよ」
「あの時の記憶ファイルを再生しましょうか? 要点を抜粋しましょう」
「ああ、頼む」
「あの時、突然宇宙人たちが三人、この船に忽然と現れたのです。まったく不意にです」

  記憶データ

 *  *

宇宙人:「あなたが地球の権原者であり、所有者の代理人であるなら私達は大変うれしく感じます」
ソドニック:「そうですとも私こそ地球大使であり、全人類の代理人であり、もっとも地球人類に信頼されている者です」
バル:「ソドニック博士。何言ってんですか?」
ソドニック:「黙ってろ! おばかコンピュータ。ヒック」
宇宙人:「ところで地球を売りに出されているとはどういう事ですか?」
ソドニック:「実は人類は随分と環境破壊をしでかしましてね。それでもって人口爆発でこのままだと食べるのにも困る。なのでいっそ地球を売ってもっと大きな豊かな惑星を購入しようと考えているんです。ウイ~ィ、ヒック」
バル:「ソドニック博士、忠告します。あなたは酒に酔っていますよ」
ソドニック:「ダーリンと呼べといってるだろ! おばか」
宇宙人:「酒に酔うとは? どういう事ですか」
ソドニック:「心地よいという事です。ウイ~ィ」
宇宙人:「そうですか、それは耳寄りな話だ。それでは我々に地球を売ってはいただけませんか?」
ソドニック:「高いですよ、地球は」
宇宙人:「そうでしょうね。相場だと二兆五千スペーシアはくだらないでしょう」
ソドニック:「いくらですって? ウイ~ィ」
宇宙人:「この際だ。素晴らしい地球に三千スペーシア出しましょう。金星が三個買える額ですよ」
ソドニック:「わかった。よし! 売った!! ヒック!」

 *  *  

「あなたは長い船旅に少しうんざりしていた。そこで取って置きのワインを開けて飲み始めたんです。そう高級で美味しくて度の強いワインです」
「ロマネ コンティか?」
「おっしゃるとおり。あなたの大胆不敵さというか、奇抜さには驚かされます」
「これが本当ならすぐに契約を解消しなけりゃ」
「もう遅いです。彼らはもう既に地球に居て表見代理の法的根拠を主張しています」
「どうする、バル。どうする。なあ、どうすりゃいい!!」
「計算できません。博士。いえ、ダーリン!?」


                     つづく
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