売られていた地球 最終話

Posted by 松長良樹 on 03.2011 0 comments 0 trackback
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 ジュニアと宇宙人

 それから一週間が経とうとしていた。

 少年は小生意気そうで、それでいてどこかとぼけたような表情をしていた。こましゃくれた13歳の少年。目が大きくクリクリと光っていた。
 彼は連邦議会の横の広場の長椅子に腰掛け、口笛を吹いていた。そこに宇宙人が不意に現れた。普通の子だったら気絶するか、逃げ出すかするだろうが少年は決して慌てなかった。
「君は誰だ?」
 まず、宇宙人が質問した。彼らは三人でソドニックの面会した三人でもあった。
「だれでもいいいでしょ」
 少年がそっけなく答えた。
「誰でもいいけど、こんなところでなにしてんの僕?」
「その僕はやめて。バカにされてるみたいだから…」
「……」
「ところでさあ、おいしいお話を教えてあげようか。僕は実はソドニックの息子なんだ。名はソドニックジュニア。ソドニックには子は僕しかいない。僕は一人っ子さ」
 顔を見合わせる三人の宇宙人。すかさず少年はソドニックと自分のツーショット写真を彼らに見せる。
「ソドニックの坊や。で? おいしいお話ってなんだい」
「火星に興味ないかな、あんたたち?」
「火星? 我々は火星を良く知ってる。欲しい星のひとつだ」
「そりゃ良かった。実はパパから連絡があってね。地球の売買を少し考えさせてはもらえないかって」
「……なに言ってる、ジュニア。それは契約済の話だよ」
「だからさ、だから地球の代わりに火星を買わないかって」
「……火星ってソドニックの物なのか?」
「そうとも。勿論パパのだ。登記簿謄本だってあるよ」
「それは知らなかった。彼は大した資産家なんだな」
「ああ、そうさ。パパは大富豪だよ」
「それで条件は?」
「同じだ。三千スペーシア! 火星の地下にはあんた達が涎を出しそうな資源が誰にも手を付けられないまま眠ってる」
「本当なんだろうね。我々はもめるのはもう嫌だし」
「あんたらが宇宙裁判所とやらに訴えて、判決が出るのはいったいつのことだい?」
 宇宙人が顔をしかめる。
「契約書も持ってるよ。火星は無人だ。誰も追い出す世話がない。よく考えてOKならこの場で権利書をあげるよ。これでチャラだ。いいね」
 三人の宇宙人の相談は三十分に及んだ。
「よし、わかった! 契約成立だ」

 彼らが地球を去るのは実に早かった。そして火星は彼らの物になった。火星には彼らの了解なしにはいかれなくなったのだ。だが、とりあえず地球の危機は救われた。
 しかし考えてみるとソドニックがジュニアに本当に連絡したのかわからない。ソドニックジュニア個人の機転なのか。それとも……。
 大統領はほっと胸を撫でおろしたが、鷲っ鼻の国防長官は不機嫌である。
 その後彼らの手によって火星は開拓され、整備され幾つもの高層高級マンションが立ち並んでいる。火星は超近代的な星に生まれ変わったのだ。しかし今は誰も住んでいない。というのも火星は賃貸に出されているのだ。宇宙人は計算高い投資家でちゃっかりとしていて抜け目がない。

 しかしどう考えても火星がソドニックの物の訳がない。
 いったい誰の? とにかくもしかするとソドニックはまた酒に酔っていたのかも、
 ウイ~ィ。もしそうでなければ、これは最初からソドニックが仕掛けた計略なのか? 真相はもうしばらくすればわかることだと思う。

            おしまい。

   ※追記

 ソドニックは今、火星の賃貸住宅でソドニックジュニアと共に暮らしている。凄い豪邸で国連事務総長は既に招かれているという。
 
 又、三兆スペーシアは裁判所がソドニックの手から取り上げてしまったのは当然としても、火星がもう人類の物ではないというのは、どうにも寂しい限りである。



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