宇宙人とピカソ

Posted by 松長良樹 on 21.2011 0 comments 0 trackback
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 ある時、宇宙人があたしのもとにやってきた。まったく予期しない出来事だったので、あたしは途方にくれてしまった。なんで宇宙人が個人的にあたしのアパートに来たの? 疑問はつきない。役所に相談しようかと思ったけど宇宙人が秘密にしてくれと言うのでお人好しのあたしは困った。そしてとりあえず秘密にすることにした。
 宇宙人は大きな黒目におちょぼ口、そして穴だけの鼻。そうあの典型的な宇宙人グレイの特徴を見事に備えていた。画学生であるあたしは興奮しっぱなしだったけど宇宙人に訊きたいことが頭の中にはち切れそうになって、口から様々な疑問が堰を切ったように飛び出した。宇宙人は意外なほどそれの一つに一つに丁寧に答えてくれた。
 そしてあたしはきのう画学生仲間で話題に出た宇宙人は美、或いは芸術を理解し得るか? という訳のわからない疑問を思い出した。
 そしてあたしは積極的にピカソの画集を本棚から引っ張り出し、抽象画の裸婦を宇宙人に見せた。そして言った。
「ねえ、この絵があなたにわかる? 偉大な芸術よ」
 宇宙人は驚いた様子でその絵をじっと眺めたていたがおおいに感激したらしい。ため息とも感嘆ともつかぬ叫びに近い声をあげた。
 あたしは改めてピカソの偉大さを実感した思いだった。この天才は宇宙人をも魅了できるのか。あたしは嬉しかった。あたしも抽象絵画を描いていきたいから。すると宇宙人がそっと囁くように耳打ちした。
 なになに、このモデルは僕の好みだから紹介してくれだって!! おいおい、この宇宙人なに考えてんの!
 ところであたしはなんで宇宙人の言葉がわかるのだろう?  この際深く考えるのはよそう。
 
                      おしまい
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