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幻想エトランゼ 1

Posted by 松長良樹 on 03.2012 0 comments 0 trackback
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 唐突に質問するようだが、あなたは電車が走っているのを見てどう思うだろう? いや何も特別な電車の事を言っているのではない。それは別段なんでもない事で町に住む人であったらごく普通に見かける風景であるはずだ。が、しかし、しかしである。その電車がえらく小さくて、ミニチュアよりまだ小さくて走る場所が女房の顔の上で、それも顔面に敷きつめられた極めて精緻な線路上を、鼻の穴から出てきて耳の穴の中に消えていったとしたらあなたはどう思うだろうか! 気絶するだろうか? それとも何とか持ちこたえて医者に走るだろうか? はたまた幻覚だと開き直って笑って済ませようとするのだろうか?
 自分にはそういうアバンギャルド的な風景が万遍なく絶え間なく見えているのだ。例えば十三階建ての自宅マンションから、顔面列車の女房を置いて出て通りの向こうを見ると燃えるキリンがいる。近づくと、かなり燃え続けたらしくて首の方はもう黒焦げだが、炎の中の目は随分としっかりしていて自分を睨んでいる。生々しく痛々しく少し哀な気もするが、熱い上に煙がすごくてどうしようもない。でもそのキリンはまんざら「たすけて」という目はしていない。自信ありげに燃えているのだ。だから難なくそこを通り抜けて、今度出くわしたのが二本足で立った黄色い豚が潜水服を着て各引きをしている夕暮れの横丁だった。これもかなり難解だ。そして滑稽だ。豚はなんと葉巻を銜えているし、生意気にヒゲまでたくわえている。いったい目当ての客はどんな者なのか? 想像するだけで気が滅入って来るし悪い酒にでも酔ったようだ。
 なぜ自分、張間信二がこんな事になっているのかというと、それにはちゃんとした理由がある。原因と結果とういう方程式は如何なる場合でも存在するのだろうから……。でないと自分は精神錯乱者ということになってしまう。
 実は自分は今、麻薬の数千倍という幻覚作用のある薬を服用しているのだ。それというのも自分はこの薬を発明した志具摩(シグマ)博士の助手であり、なかば強制的に自分はこの薬のテストを行わされている。この薬が完成すれば人体に害のない麻薬が出来上がるらしい。実のところ自分にはまだ薬の価値がよくわかっていない。まあそれでも良いのだ。自分は実験用の椅子に固定されていて、頭から鋭い電極端子が無数に内側に向って突き出たヘルメットを装着している。周りには沢山の脳波計やら、心電図メーターやら、電子機器の計器類が林立している。

                               つづく
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