聖獣の系譜 3

Posted by 松長良樹 on 28.2012 0 comments 1 trackback
縺・♀・具ス具ス祇convert_20120527105308

「どうしました?」
 望月が落ち着いた口調で女を振り返るようにして言った。
「この人たちに絡まれて困っているんです…」
 女がか細い声をあげた。
「きょう近くで飲み会があったんですがその帰りにこの人たちに…」
「なあ、ねえちゃん僕らは決して変な人間じゃないよ。だからまじめにお付き合いしようって言ってるじゃありませんか。ねっ!」
 おどけた感じの三白眼の男が前に出てきてそう言った。ひょうきんを通りこした卑猥さだった。
「この時間にどういう風に真面目なお付き合いが出来るんだい?」
 望月が静かに言った。甘いマスクがいつになく蒼白だ。
「てめえ、どこからしゃしゃり出てきやがった! 好かねえ面しやがって!」
 男のおどけた顔の表情が一瞬に消え去ると、狡猾な爬虫類に似たいやらしい本性がたちどころに表出した。それをまるで制するように紫のスーツの男が一歩前に出た。
「僕らはこの時間だから、お嬢さんを危険がないように家までお送りしようとしていたんですよ。それをなにか勘違いしたみたいで、とんだ誤解なんですよ」
「そうでしたか、それはどうもご親切な話ですねえ。でも彼女は貴女方より僕に送ってもらいたいみたいですよ。ねえ」
「は、はい」
 女が小さく頷いた。
「ねえ、これは内輪の話なんですから、ここはお引取くださいな」
 紫のスーツがそう言った。高い鼻に薄い唇、切れ長の目をしている。
「ほう、内輪もめだと言うのですか? とても僕にはそうは見えないですね。どうみても恐喝か暴行か、追剥か。そんな風にしか見えない」
 途端に紫のスーツの目がギラリと光った。鷹のような獰猛な目だ。
「てえめは、すっこんでろ!!」
 後ろの方で大男が凄んだ。どすの利いた声音であった。が、次の瞬間に望月は身を翻(ひるがえ)すと女をだき抱えて走った。まるで息つぐ暇もない稲妻のような速さで、男たちは直ぐに後を追おうとしたがそのスピードには格段の差があり、まるで追いつけなかった。望月には過去に湾岸で激情に任せて二人の男を葬った恐ろしい経験があった。相手の二人は凶悪犯であったが、今でもそれは望月の心の重荷になっていた。だから彼は己が死に直面でもしない限りは金輪際、獣には変身しないと言う誓いを立てていたのだ。
 望月が彼女を抱えてカマロの飛び乗り、シフトがRからDに切り替わったときに男たちがやっとカマロの背後に現れたがすべてが後の祭りだった。まるで獣の雄叫びをあげてカマロは閑散とした路を電光のように疾駆した。

                     つづく
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「どうしました?」  望月が落ち着いた口調で女を振り返るようにして言った。 「この人たちに絡まれて困っているんです…」  女がか細い声をあげた。 「きょう近くで飲み会があっ
2012.05.28 18:44 まとめwoネタ速neo
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