聖獣の系譜 12

Posted by 松長良樹 on 07.2012 0 comments 0 trackback
縺・♀・具ス具ス祇convert_20120527105308

 尻込みしながらも紀子はしっかり須藤研一についてきた。裏門に回る。館の裏側は土手みたいになっていてその脇に川があった。雑草の生い茂った鉄柵の裏門から覗くと裏庭に車が二台停車していた、一台はありふれた大衆車であったがこう一台はボディカバーが掛かっていた。
「ごらんよ、あのカバーのかかった車はおそらくカマロだ」
「いったいどういう事なの?」
「車を隠したんだよ、たぶんね、なんとか確かめてみたいな」
 そう言って研一が裏門の鉄格子に手をかけると金属が鈍く軋む音がして門が開いた。鍵がかかっていなかったのだ。研一はゆっくりと館の裏庭に入っていった。車の前まで行き、確かめたい衝動にかられてボディカバーを少し捲ると鮮やかな赤い色がまぶしく目に飛び込んできた。やはりそれは望月のカマロであった。研一は何度か車を見ていたので間違いはなかった。いつの間にか紀子も後ろでその様子を見ていた。
「帰ろう、ここに長居は無用だよ、もう少し考えてどうにかしよう」
「ええ」
 二人が踵を返そうとした時だ。その行く手を阻むように五人の屈強な男たちがそこに立ちふさがった。あのノアビルにいた望月を騙したチンピラみたいな男たちであった。もちろん研一たちには面識がない。
「よう、兄さんたち不法侵入罪って知ってるかい?」
 三白眼の人相の良くない男がそう言った。
「ああ、いや僕らはそんなつもりじゃないです。直ぐ帰りますから失礼しました」
「そうはいかねえな。この館のご主人様がたいそう怒っていなさるんだ」
 その三白眼の男は一見ひょうきんそうな顔立ちであったが、その瞳の底には狡猾で恐ろしい嫌忌ともいえる眼光が光っていた。足早にその場を立ち去ろうとする二人であったが、たちどころに取り押さえられ、後ろ手に縄で結わきつけられてしまった。それこそ不法であり尋常ではなかった。

                         つづく
スポンサーサイト
Category : 聖獣の系譜


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://kitunosuke8.blog33.fc2.com/tb.php/278-76bcd9ca
▲ top