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聖獣の系譜 15

Posted by 松長良樹 on 09.2012 0 comments 1 trackback
縺・♀・具ス具ス祇convert_20120527105308

 その男が懐のナイフをひけらかした。大抵の女であったらこの時点で腰を抜かすが普通であろうが、田沼美沙子の反応はまるで違っていた。なにを考えたのか彼女は胸の開いたドレスの間から小さな笛を取り出してしてそれを吹きだしたのだ。しかも音のない笛であった。男が面食らったように妙な顔をしたが、まるで気違いを見るような嘲りの笑いが顔に浮かんできた。
「ねえさん、なんの真似だいそりゃ!?」
 そのセリフが終わるか終らないうちに、信じられないような事態が起こった。男の手にしたナイフが宙に舞ったのだ。ナイフだけではない。ナイフを握り締めた手首ごと千切れて空中に吹っ飛んだのだ。一瞬の身も凍りつくような惨事であった。
「おあーーーっ!!!」
 血煙があがり、凄まじい悲鳴と共に男が踊るように弧を描いてその場に倒れ込んだ。周りの男達も度肝を抜かれて男を見やった。
「て、てめえ! 何をしやがった」
「あたしに刃物なんぞ向けるなんて、百年早いんだよ!!」
 凄みのある啖呵だった。凶悪なやくざさえ尻込みしかねない覇気がみなぎっていた。
「野郎!!」
 しかし、やくざ達は惨事には慣れていた。彼らも切った張ったの世界で生き抜く手練れたちである。ここで逃げ腰になったのでは闇の世界は生きてはいけない。
「かまう事はねえからやっちまえ!!」
 その言葉を合図に男たちは得物を閃かせて一斉に田沼美沙子に飛びかかった。しかし惨事は終わらなかった。最初に飛びかかった男は肩口から血を噴き出した。頸動脈がざっくりと裂かれている。まるで日本刀で袈裟切りに切られようであった。
「おうぐっ!」という喘ぎ声を残して地面に蹲った。そこはもう驚くに足る修羅場であった。 まるで透明人間が日本刀をもって暴れまわっているようであった。男らはほとんど何の抵抗も出来ぬままに血だるまになっていくのだ。
 その中で田沼美沙子はただ笑い狂っていた。まるで鬼神か魔物でも憑依したようであった。ものの五分もしないうちに男たちは誰も動かなくなった。目にもとまらぬ高速で黒い影が何回もその場を走ったように見えた。
 不気味な黒い影はいったい何なのであろう……。まさか望月が魔獣になって彼女を助けたのではないか? そんなはずはない。彼は今囚われているはずではないか。それに田沼美沙子に望月が加勢するなんて、そんなことがあっていいはずはないのだ……。

                       つづく
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Category : 聖獣の系譜


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 その男が懐のナイフをひけらかした。大抵の女であったらこの時点で腰を抜かすが普通であろうが、田沼美沙子の反応はまるで違っていた。なにを考えたのか彼女は胸の開いたドレスの...
2012.06.10 14:03 まとめwoネタ速neo
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