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聖獣の系譜 16

Posted by 松長良樹 on 10.2012 0 comments 0 trackback
縺・♀・具ス具ス祇convert_20120527105308

 ――藍色の夜空に黒々としたシルエットで浮かびあがる洋館、それはおよそ時代錯誤を誘発する中世の城だ。まるで城壁に物の怪のとりついた怪異な要塞だ。望月が囚われている洋館は内部に恐るべき秘密を隠していた。そこは表向きこそ大きな邸宅であるが、その地下にはダークムーンの秘密のアジトが建造してある。地上三階建ての洋館は地下数百メータ―に及ぶ要塞じみた秘密基地を隠しているのだ。
 地下道は国立市、府中市、多摩市に通じどこからも出入りでき、研究施設や、通信施設などが完備していて、例えば極秘技術の研究開発、組織の情報交換等の活動拠点になっているのだ。

 須藤研一と伊藤紀子の二人は望月とはまた別な暗い部屋に監禁されてしまった。そこは廊下に面した太い鉄の格子のはまった牢獄のような所であった。腕の縄をほどかれたのがせめてもの救いだ。チンピラ達はニヤニヤしながら暫らく二人を眺めていたがやがて三白眼の男が紀子にいやらしいウインクを残してその場を去って行った。所持品はすべて取り上げられている。
 廊下を彼らの足音が遠のくと研一は体ごと力いっぱい中から鉄のドアに体当たりしてみたが、肩に激しい痛みがはしっただけでドアはびくともしなかった。部屋の中を見回したが、広さは八畳ほどで天井も床も壁も堅牢な作りでとても抜け出ることなど不可能であった。研一はそれがわかると激しい後悔に駆られて床に膝をついてしまった。紀子はものも言わず顔面蒼白でどこを見るともなく唇を震わせている。
「早まったことをした、許してください伊藤さん。こうなったのは僕の責任です。あのまま引き返せばよかったんだ。許してください。あなたを誘ったばっかりにこんな……」
 須藤がそう言うと紀子は暫らく声も出なかったが首を左右に振った。
「こんな所になんか最初から来なければよかった。――でもあなたが悪いんじゃない。悪いのはあの人達よ、この様子じゃ望月さんもここにいるのよ。きっと捕まっているに違いないわ」
「ええ、たぶんそうでしょうね。しかしなんでなんだ? さっぱり訳がわかりません」
「ここは普通の家じゃないわ。こんな牢獄が普通の家にありっこないもの。あたし怖いわ、あたし達いったいどうなってしまうの?」
 紀子が自分で両肩を抱くような格好で泣き顔のまま震えながら言った。
「なんとかしなきゃ、なんとか」

                    つづく
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Category : 聖獣の系譜


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