聖獣の系譜 19

Posted by 松長良樹 on 13.2012 0 comments 1 trackback
縺・♀・具ス具ス祇convert_20120527105308

 望月は憔悴しきっていた。彼の人生に於いてこれだけの目に遭ったのは初めてであり、屈辱であって慚愧(ざんき)に堪えない事態であった。しかしどう悔しがっても拘束は解けない。彼らの用意周到さをいくら恨んでもはじまらないのだ。望月の首には金属のリングがはまっていて、それがダイヤより硬い最強金属ロンズデーライト製ときている。この金属は隕石が地表に衝突した際にできる希少価値の高い金属でこれを細工するのだからダークムーンという怪しい組織が並大抵の組織でない事の察しがつく。
 望月はもう何度も黒豹に変身してしまいたい衝動に駆られた。なぜならネコ科に類する彼は束縛されるのを殊のほか嫌う。しかしそれを思い届まさせる重大な懸念が脳裏をかすめていた。変身時には望月の首の太さはおよそ今の十倍以上に膨れ上がる。となると金属が切れるか壊れるかしないかぎり望月はまず窒息するだろう。変身時にこのリングを打ち破れる確証がないのだ。その恐怖が彼を変身に駆り立てる衝動を抑えていたのだ。
 この三日間に望月は様々の検査を受けた。人間ドック以上の精密検査でその中には酷い苦痛を伴うものも含まれていて拷問と大差なかった。それはここに書くことさえ憚られるくらいの恐ろしい仕打ちであった。
 例えば五臓六腑に麻酔なしで針を通され組織のサンプルを採ったり、神経組織に高圧電流を通されたりして、彼はなんども嘔吐したし、何回か気絶もした。もうどの位の量の血を抜かれたか見当もつかないのだ。これが一番望月には堪えた。聖獣の血を悪用されたらとんでもない事になるに違いないのだ。辛い焦燥感、敗北感が重く果てもなく望月に圧し掛かってきた。まるで一分が一年にも感じる。発狂してしまった方が楽なのではないかと思うくらいだ。

                         つづく
スポンサーサイト
Category : 聖獣の系譜


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://kitunosuke8.blog33.fc2.com/tb.php/285-c2ae60c8
 望月は憔悴しきっていた。彼の人生に於いてこれだけの目に遭ったのは初めてであり、屈辱であって慚愧(ざんき)に堪えない事態であった。しかしどう悔しがっても拘束は解けない。...
2012.06.18 16:45 まとめwoネタ速neo
▲ top