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聖獣の系譜 20

Posted by 松長良樹 on 14.2012 0 comments 1 trackback
縺・♀・具ス具ス祇convert_20120527105308

 薄ぐらい密室でまたも望月の意識が飛びそうになった。天井に小さな蛍光管が灯っているだけの殺風景な部屋で彼の精神力、体力の限界が近づいていた。このまま死んで果ててしまった方が楽だと気弱に思い始めていたその時である。彼は部屋の隅の一際暗い部分に誰か人が蹲っているのを発見して声をあげそうになった。その人影は最初しゃがんでいるようであったが、やがて立ち上がってこっちにゆっくり近づいてきた。
 そしてその顔を見た瞬間、望月の心臓が止まりそうになった。それは彼に酷似していた。それはなんと望月自身なのであった。幻覚だと思った。自分の分身などいるわけがないのだ。望月は目を擦りたかったが手は動かない。それはなんとも懐かしそうな視線を彼に投げかけた。そして言った。
「どうした? ずいぶんしょげちまってるじゃないか」
「……」
「このまま終わっちまうのか、えっ!? だらしがねえぞ。お前は聖獣じゃなかったのか」
「お前は誰だ? どこから来たんだ」
 望月が疲れきった声でそう言った。
「おまえの心の中からだ。俺はおまえの分身みたいなもんだ」
「分身……」
「いいか、お前は体の中には凶悪な怪獣ヴェードを倒す為に聖女マリアがこの世に遣わした聖獣の血が流れている。だから聖女マリアが常にお前を見守っているのを片時も忘れるな」
「な、なんだと。……なにが言いたいんだ。俺はもう弱っていて目だって良く見えない。聖獣も形無しだ。笑うがいいや、このざまを笑えよ」
「何を言う。不撓不屈こそがお前の真情じゃなかったのか! 思い出せ、お前は黒川のところを飛び出した頃、ヨーガの瞑想法を自分のものにしようとした。忘れたのか! お前は自分をコントロールするために、解脱、すなわち個体の魂の神への融合を実現するための実践体系を学んだのではなかったのか! そのために修行したのではなかったのか!」
 それはもはや望月の心の声であり魂の叫びであった。
「お前は聖獣に変身するとき、心の中になにを見出すのだ?」
「白い半透明なスクリーンだ、その中に聖獣が現れるんだ…」
「そうだ、その通りだ。いいか、そのスクリーンに黒豹以外の物を想念出来たとしたらどうなる?」
 そこまできいた時、分身はものの見事に消え去った。そして望月の瞳に微かなしかし鋭い光が密かにきらめいた。


                       つづく
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Category : 聖獣の系譜


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 薄ぐらい密室でまたも望月の意識が飛びそうになった。天井に小さな蛍光管が灯っているだけの殺風景な部屋で彼の精神力、体力の限界が近づいていた。このまま死んで果ててしまった...
2012.06.19 03:02 まとめwoネタ速neo
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