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聖獣の系譜 22

Posted by 松長良樹 on 16.2012 0 comments 1 trackback
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 飯田淳と言う男はずいぶんと貧相な顔立ちの男であった。小さい耳に小さい鼻、細い顎、身体でも悪そうな青黒い顔色をしていた。彼は田沼勇二らに仕えるチンピラの一人だ。彼の役目は雑役で、今は望月と学生二人の食事係みたいなものだった。なにしろやくざ社会で落ちこぼれたような男だったが、どんな危ない仕事でも平気で引き受けるような所があったので田沼が目をつけ、いいように使っているのだ。
 その飯田が、囚われの身である須藤研一と伊藤紀子の様子を見ておけと言われて、夜中に地下の階段を下りて面倒くさそうな欠伸をしてあの牢獄の前に行くとどこか様子がちがう、束の間、少し目を擦っていたが「ああ?」と最初言って「あれーっ!」
 と声をあげた。そして今までスローモーだった動きを極力速めて鉄の格子にかじりついた。 なんと伊藤紀子が突っ伏して床に倒れているのだ。それに須藤の姿がないのだ。そんな訳はないのである。この堅固な牢獄のような部屋から鍵なしで出られるとしたら蛇か、蟻ぐらいなものだ。いったいどうしたのか? 飯田は実に不思議そうな顔をして鉄格子に顔を押し付けるようにしてもう一度中をよく見たがやはり、須藤の姿はない。
「おい!! どうした?! 男は何処へ行きやがった!」
 叫んだが床に突っ伏している紀子は倒れたまま、蒼い頬のまま何も言わない。もしかして死んでしまったか、さもなければ完全に気絶でもしているようなのだ。不安にかられた飯田は腰にぶら下げている鍵の束から目当ての鍵を取り出すとガチャリと大きな南京錠を外し、閂を横に移動させて扉を開いた。そして中に入りしゃがむようにして紀子の顔を覗き込んで肩に手をかけた。
「お、おいどうした! どう…」
 その時である、いきなり背後に気配を感じて身構えたのだが、その時には研一の手に持ったベルトが首に巻き付いて思い切り締め上げられたので、まるで頭を棍棒で殴られたようなショックを感じて気が遠くなった。そして大の字にのびてしまったのである。研一は透明人間になったのだろうか? いやそうではない。彼は牢獄の一番奥のちょうど角の所に着ていたグレーのジャケットを頭からかぶって潜んでいたのだ。
 牢獄の奥の一郭にどこからも光の当たらない影の部分があり、そこに上手く隠れていたのだ。これは研一の機転もさることながら飯田が間抜けだったと言った方が当たっているのかもしれない。まあでもそんな訳でこの窮地からなんとか脱出できる光がさしたことは間違いがない。
「すっごい! 須藤さんやったわねえ、ところでこの人死んだの?」
 いきなり紀子が起き上って心配そうにそう言った。
「さあ、僕も無我夢中だったから、でも死んではいないと思うよ」
「怖かったわ、心臓がバコバコしてた。でも良かったこのままコンクリート詰めになんかされたくないもの」
「とにかく逃げよう、そして警察に連絡だ」
「でも、出口がわからない!」
「しっ、静かに。とにかくここは地下だから、地上に出るんだ」

                     つづく
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Category : 聖獣の系譜


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 飯田淳と言う男はずいぶんと貧相な顔立ちの男であった。小さい耳に小さい鼻、細い顎、身体でも悪そうな青黒い顔色をしていた。彼は田沼勇二らに仕えるチンピラの一人だ。彼の役目...
2012.06.20 05:46 まとめwoネタ速neo
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