聖獣の系譜 38

Posted by 松長良樹 on 02.2012 0 comments 1 trackback
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 こんな具合さ、善良な二人は何の躊躇もなく車に乗り込んでしまった。きっとお前が後から来ると思って安心したのだろうな。それに二人とも真面目で正義感が強い。そして車はスピードをあげて都内を走り湾岸の方に向かった。今日はいい天気だったし、潮風が気持ちよかっただろうよ。ところがだ、どうも様子がおかしいんだ。車は海岸道路を走って防波堤まで行きつく様子なのさ。こんなところに警察署なんてないし、どう考えたって変なのさ、そこでさすがに研一が『どこまで行くのでしょう?』と警官に訊いたらしいのだ。
 すると助手席の警官は振り返りもせずに『地獄』と答えたそうだよ。それにその時になって初めて気づいたらしんだが、その警官の声を前にもどこかで聞いたことがあったらしいんだな。ずいぶん紀子は慌てたらしい、大きな声でなき叫んだそうだよ。それで研一なんかドアを開けようと懸命に押し開けようとしたがどうしてもドアが開かないんだ。するとだ。運転士をしていた刑事と助手席の警官がいきなり車から飛び出したんだな。車には運転士がいなくなったのだ。怖かったろうね。切なかったろうね。
 そしてすぐに大爆発が起こった。ものすごい爆発音がして車は炎上したんだ。文字通り火の車ってところだね。その車には恐ろしいTNT爆弾がしかけてあって、警官が車から飛び降りた瞬間にそのスイッチを入れたんだよ。で、車は大破、炎上、ガソリンにまで引火したから大変だ。警官は坂田だったんだ。あいつは変装が意外に上手で警官に変装して付け髭までしていたから、ふたりとも見破れなかったんだな。黒焦げさ、すべてが。だから車も死体も墨みたいになったんだ。こうなると鑑定は難しいね。とんだ苦労を警察はしょい込むってわけさ。ははははっ、俺はこういう事をかんがえるが好きでね。大成功の報告をたった今坂田から聞いたところだよ」
「……」
 それをきいた望月は思わず、硬い床に片膝をついた。頭を左右に振っている。
「あれ? ずいぶん顔色が悪いぞ。望月、お前は疫病神か、死神なんだな。だから若い二人が死んだんだ、お前に関わったばっかりに」
「ちくしょう、俺はなんて馬鹿なんだ、俺は……」
 まるで体をうち震わせ、望月が蒼い顔になった。そして暫らくその悔しさをぐっとこらえるようであったが、次に彼が勇二を睨んだ顔はもはや仁王のようであった。行き場のない憤怒が彼の顔を仁王に変えたのだ……。

                       つづく
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 こんな具合さ、善良な二人は何の躊躇もなく車に乗り込んでしまった。きっとお前が後から来ると思って安心したのだろうな。それに二人とも真面目で正義感が強い。そして車はスピー...
2012.07.03 06:51 まとめwoネタ速neo
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