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聖獣の系譜 39

Posted by 松長良樹 on 03.2012 0 comments 1 trackback
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「お前は絶対に許さないぞ! 田沼!」
「おおこわい、獣に変わるか。だが望月、お前が獣に変わったら俺はまともじゃかなわねえ、ここは剣で勝負しようじゃないか。おまえに意気地があるんなら、正々堂々と対等な勝負をしようじゃねえか! 日本刀での真剣勝負だ!」
「なに!」
 その一刹那、背中に担いだ絵里加が微かに笑った。
 どうかんがえても絵里加がこんな時に笑うなんておかしい。と思うのも束の間だった。彼女は凄い速さで望月の背後から隠し持った短刀を突き刺したのだ。その刀身は望月の肩口から左胸を貫いた。どっと鮮血が壁に散った。並の技ではなかった。望月はまったく不意を突かれた格好で苦痛に顔を歪めた。
 それを待ち兼ねたように抜刀術にたけた勇二は、望月めがけて背の刀を間髪入れずに振り下ろした。渾身の力で振り下ろされた刀がカツンという異様な音を響かせた。それは刀身が骨に達した寒気のするような音だった。しかし刀を受けたのは望月ではなかった。彼は反射的に身体を半回転させていた。だから犠牲になったのは背中の絵里加だった。
 彼女は頭蓋骨にまともに勇二の放った刀を受けたのだ。そして望月の反射神経は防御と攻撃をほとんど同時にやり遂げていた。彼は右手の人差し指と中指の二本をくの字にして勇二の喉笛を瞬時に貫いた。鋼鉄のような指先が勇二の喉笛を下からえぐったのだ。まさに超人だ。超獣だ。その身のこなしはとても人間業ではない。
「おああっ!」
 勇二が喘いだ。勇二はまったく信じられないという顔をして数歩、歩いた。そしてまるで夢でも見るような表情のまま、喉からぼとぼとと滴る赤い血を両手に受けてばったりと倒れた。そしてそのままもう動かなかった。
 望月はそれを確かめると、虫の息の絵里加を抱きあげてその顔を覗き込んだ。額から頭にかけてざっくりと割れている。――彼女の消え入るような声音。
「望月、あんたはわかっていたんだね、あたしが美沙子だって。最初から知ってたんだ。あんたが絵理名と会ったことがないのをいいことに、香水まで変えて変装していたのにさ、あんたは見破っていたんだ。あたしたちにはあんたが坂田の後を付けていた時から見ていたんだ。カメラでね。でも……。あんたは凄いよ。ほんとに、すご… ああ、あたしはもう一度あの世であんたに会いたい……」
 田沼美沙子は目をあいたまま死んだ。望月は掌で彼女の目を閉じらせ、本物の絵里加を探した。地下の部屋という部屋をことごとく探すと結局彼女は、美沙子がいた部屋の床下に閉じ込められていた。望月は彼女の無事を確認すると傷づきながらも、絵里加を背負い夜の街を走った。まさに超人の走りであった。

                   つづく
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Category : 聖獣の系譜


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「お前は絶対に許さないぞ! 田沼!」 「おおこわい、獣に変わるか。だが望月、お前が獣に変わったら俺はまともじゃかなわねえ、ここは剣で勝負しようじゃないか。おまえに意気地
2012.07.05 02:06 まとめwoネタ速neo
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