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聖獣の系譜 40

Posted by 松長良樹 on 04.2012 0 comments 1 trackback
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 望月は絵里加を妹の家の比較的近くの救急病院に急患として運んだ。そしてすぐに妹の新藤美奈子に連絡をした。すぐに美奈子が駆けつけ姉妹は涙の再会を果たした。翌日の新聞はこぞってそれを大きく取り上げた。そのなかのいくつかを例に挙げよう。
  *  *
 怪人に誘拐されたまま行方不明だった、銀座ナンバーワンホステス絵里加(本名新藤絵里子さん二十五歳)無事帰還! 救出者は「何でも屋」を麻布で経営する青年、望月丈さん二十九歳。同日二十時ごろ彼はホステスの監禁されている地下室を突き止め、単身彼女を救い出した。青年の証言によると彼女を誘拐した怪人はある犯罪組織の一員であると言う。
 その後も青年の口から驚くべき証言が続いている。尚、青年は監禁現場で犯人と格闘の上、複数の犯人を倒したという事だが、現場に警官隊が急行したときには、犯人の姿は全く発見することが出来なかった。しかしその地下室に続く階段におびただしい血痕が付着していたので、警視庁は現在それらの調査に全力をあげている。この誘拐事件には恐ろしい犯罪組織が関与している事が明らかになりつつある。
  *  *
 美人姉妹涙の再会! お手柄の好青年。自称何でも屋の青年の手によって無事救出された。ナンバーワンホステス(本名新藤絵里子さん)両親とも再会。望月丈さんは謝礼の百万円を妹の美奈子さんから手渡された。尚、このあと青年には警視庁より感謝状が贈られる運びとなっており、ここに平成のイケメンヒーローが誕生した。云々。

 しかし当の望月の表情はさえなかった。その理由を表す記事が以下である。

 同日午後四時ごろ、パトカーを偽装したとみられる車が湾岸付近で突然炎上大破した。場所は東京都港区芝浦埠頭の付近、目撃者の話だと同車はかなりのスピードで沿岸を走っていて突然運転手と助手席の男が車から飛び出し。その直後に炎上、大破したと言う。警察の調べによると車には爆発物が仕掛けられていた可能性があり、後部座席には二人の人間が乗車していた模様で、遺体が完全に焼失しているため、身元の確認が困難である。尚、警察は先に飛び出した二人を重要参考人として懸命に捜索していが、未だに何もわかっていない。云々。

 望月はその記事を読んで事務所に明かりもつけずに溜息ばかりついた。やがて日が暮れる時分である。絵理名を救えたのはいいが、研一と紀子の面影が頭から離れないのだ。あの二人の笑顔が何度も胸に迫ってくる。ああ、ふたりを殺したのは自分だ。自分は厄病神であり、死神なのかもしれない。
 望月はどうしてもそう思わずにはいられなかった。どうして自分は二人をもっと気遣ってやれなかったのか、当面は彼らの様子をもっと見るべきであった。後悔先に立たず、とは言うが飲めない酒をがぶ飲みする彼は哀れでもあった。と、そのとき外に気配を感じて神経を集中すると、誰かがポストに手紙を入れて行ったらしい、望月はその見なれない手紙を直ぐに開封して中を読んだ。文面はこうだ。下手なペン字であった。

 望月、俺は絵里加をさらった木村というものだ。絵里加は俺が妻にする女だ。それをお前が余計な事をしやがって、しかし田沼兄弟を葬ったお前は中々のつわものだ。望月、俺は強い奴を見たり、知ったりすると無性に血が騒ぐのだ。絵里加をまた浚うのは簡単だが、またお前がしゃしゃり出てくるのは明白だ。だからこの際お互い、雌雄を決しようじゃないか。兵頭にも手出しはさせねえから心配するな。日時場所はここに記す。必ず来い。逃げたら俺は絵里加を殺す、いいか必ず来い。一人で来い。待っているぜ。
 決闘場所、四月十三日午後二十三時、巌流島。佐々木巌流之碑の前にて待つ。

        おまえと同じ血を引く男         木村庄司

つづく
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Category : 聖獣の系譜


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 望月は絵里加を妹の家の比較的近くの救急病院に急患として運んだ。そしてすぐに妹の新藤美奈子に連絡をした。すぐに美奈子が駆けつけ姉妹は涙の再会を果たした。翌日の新聞はこぞ...
2012.07.05 02:06 まとめwoネタ速neo
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