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the magic

Posted by 松長良樹 on 31.2010 0 comments 0 trackback
magic_convert_20101031233207.jpg

 ――ある時アマゾンの秘境で未開の部族が発見された。
 未知の部族の少年が現地の黒人に捕らえられたのである。それはスクープであり、世界中の話題をさらう出来事であった。早速各国から調査団が現地を訪れた。 日本からも調査チームが現地に赴(おもむ)き、色々と調査を始める事になった。
 実に原始的な人々であった。彼らは動物の皮を身にまとう狩猟民族だったのだ。彼らは少数で言語を使わず、ほとんどジェスチャーのような身振りで意思を伝えていた。
 文字も言葉も無い彼らの驚くべき実体が、次第に明らかになっていった。
 彼らは最初、チームに非常に強い警戒心を抱いていた。しかしチームの根気ある友好の努力は頑(かたくな)な彼らの心を徐々に解きほぐしていった。
 特にチームの持って行ったケーキは彼らに好評だったらしく、喜んで彼らはそれを食べ、親密の度合いが一挙に濃くなった。友好関係が確立しつつあったのだ。
 特にグーガという部族の少年は妙に人なつっこく、いやこのグーガと言う名はこの少年が頻繁に「グーガ」と発音するのをチームの隊員が聞いて、勝手に名にしただけで、名なのかどうかも実際のところ分からなかった。
 グーガは利発ですぐにチームの人気者になった。言葉は無論通じないのだが、隊員の意図をすばやく汲み取り、まるで通訳のようにジェスチャーで部族のみんなに伝えた。
 部族の人々にとってもチームの隊員達にとっても楽しい時が流れた。
 
 やがて調査も一段落し、様々な研究資料を携えてチームが帰国する事になった。
 又来る事にはなってはいたが、はっきり何時(いつ)になるかは分からなかった。
 チームの隊員も彼らと情が通じていたので寂しい気分になっていた。
 そんな時チームの中にマジックの得意な一人の隊員が現れた。彼はお別れにマジックで彼らを喜ばせようと思いついたのだ。そして簡単なマジックを披露した。彼は大学時代にマジック研究部にいたので玄人跣(くろうとはだし)の腕前であった。
 一つのピンポン玉が彼の手の中で二つになり、三つに増えた。しかしどういう訳か彼らには反応がなかった。今度は一本の紐を真ん中で切り、切れた両端を握ると切れたはずの紐は、もとどおり一本の紐にもどるというマジックだった。
 しかしやはり彼らは意外な程、何の反応も示さなかった。マジックの得意な彼は最後にとっておきのマジックを披露した。
 何も無い彼の掌から突然、白い鳩が現れた。そしてその鳩を空中に放り出すと鳩は空中に見事に消え失せた。
どうだ。と言う表情を彼がした。

 しかし彼らは尚も、まったくの無表情なのである。
 その様子を見てチーム隊員たちは、彼らの知能はかなり低くマジックの意味さえ理解出来ないのだと結論を下した。グーガはなぜか印象的な薄ら笑いを浮かべていた。 
 
 とその時、部族の長老らしき人物がすっくと立ち上がったかと思うと、手にした杖を天にかざした。
 ――するとどうだろう。今までその場にいた彼ら部族の全員が、煙のように忽然とその姿を消してしまったのだ……。
 チームの全員が驚嘆したのは言うまでもない。
 そして、どういうわけかチームは彼らを二度と見つけ出す事は出来なかった。
 グーガの消息も今だに不明なのである……。

                       おしまい。
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