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聖獣の系譜 42

Posted by 松長良樹 on 06.2012 0 comments 1 trackback
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 そんなことを思っていると、不意にドアにノックの音がした。こんな時間にだれであろう、ドア越しに様子をうかがい、小さな覗き窓から外を見ると一人の男がそこに佇んでいた。グレーのスーツ姿であった。
「どなたですか?」
 そう問うと男は警察の者だと言う。仕方なくドアを開ければ男は意外な程の低姿勢でこう言った。
「失礼します。私は警視庁から来ました。小布施直太朗といいます」
 そういって男は警察手帳を掲示してみせてから名刺を差し出した。歳の頃なら三十位だろう色白で面長の顔に理知的な大きな瞳が特徴的であった。髪は短めに刈り込んである。刑事らしいごつさはまったく感じさせない。まるでセールスマンみたいな物腰であった。
 名刺には警視庁刑事部・捜査課第一課長・小布施直太朗、そう書かれてあった。望月は多少うんざりした。というのも警察署でさんざん今回の事件の件で尋問みたいに質問攻めにあったからだ。
「今回の誘拐事件では大変、警察にご助力いただけまして感謝しております……」
「なあに、俺はただ妹さんに頼まれただから半分ビジネスですよ。それにもうお話しできることはことごとくお話してあるつもりなのですがねえ」
「ええ、しかし絵里加さんを誘拐した怪人の正体が全く分からないのです。頭が痛いですよ。 何しろ奴は客と警官三人に重傷を負わせ、腹を抉られた浜野というベテランの警部補は一昨日病院で死にました。彼はもう数か月で生まれる孫の顔を見ないうちに殉職してしまったのです。痛ましい限りです。なんとしても犯人を挙げなければ警察の威信に関わります」
「……」
「ところで望月さんは犯人に接触されたのですよねえ」
「はい、そうです」
「あなたは格闘の上、自ら傷を負いながらも彼らを倒した。相手は計四人、二人は気絶させたけれど、あとの二人は……」
「二人はおそらく死んだと思いますが、そのところはあまり思い出せないのです。思い出したくもないのです」
「相手を殺したのですか? どうやって? あなたは武器も何もお持ちではなかったですよねえ」
「俺には武道の心得があるのです。総合的な格闘技をマスターしています」
「ほう、あなたはすごく強いんですねえ、なるほど、正当防衛って訳ですか」
 小布施はそこでちょっと考え込んだようなそぶりを見せたが、すこし間をおいて言った。
「しかしそれにしても色々と不思議なのです。現場の警察が直行したときには誰もいなかった。あなたが現場から病院まで二十分ほどかかったという証言をそのまま信じて、そこから警察に連絡をいただいて三十分、合計五十分あまりの時間に犯人は消えた」
「それは気絶させた二人が意識を回復させ、死体が見つかるのを恐れてどこかに隠したのでしょう、死体が色々な事実を語る恐れがありますからねえ」
「そして今操作願いが出されている学生二人は、あの燃えちまった府中の洋館に監禁された二人だとあなたは証言した。あなたのところでバイトしていた二人だ。しかも港の近くで爆発した偽装パトカーに乗っていたのはあの二人なのですね。しかし、あなたになぜそんなことがわかるのですか?」
 普段無表情な望月がさすがに悲しげな表情になっていた。
「その辺の事はもう何回も話しましたが」

                 つづく
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2012.07.06 20:37 まとめwoネタ速neo
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