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長電話

Posted by 松長良樹 on 02.2010 2 comments 0 trackback
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「もしもし……。うん。それで……。えっ!うっそーっ。……やだーっ」
 ――その少女はマイルームのソファの上で、携帯電話をしていた。
 クリッとした好奇心旺盛そうな眼の女の子だ。彼女は横になったまま何度もあいづちを打って笑顔になったり、時折悲しそうな顔になったり、ちょっとふくれっ面になったりしている。
 女友達との会話が楽しくてたまらないのだ。またまた彼女が大声で笑い出した。
「えっ! それマジで… 信じらんねえ!」
 今友達と別かれて帰ったばかりなのに、もう会話が盛り上がっている。
 少女は立ち上がって茶箪笥から、スナック菓子を取り出した。封を破って、ぼりぼり音をたてて口に放り込む。
「それで、あっそうか…… はははははっ」
 尽きる事が無い会話。そとは夕方からすっかり夜になっている。見てもいないテレビがついていて、ニュースを映している。音はミュートに絞ってあった。
 尚も会話は続く……。そのうち夜が更け、音のないテレビが臨時ニュースを映していた。
 ――大きな文字で、隣国より日本に向け、核ミサイルが発射されたと読める。
 少女の会話は終わる様子を見せない。外はもう深夜だ。
 突然暗闇に閃光が走る。核爆弾投下……。凄まじい閃光・爆音。
 爆風が街を襲う・・・しかし少女はカーテンを閉めただけで、尚も会話に没頭する・・・・。
「えっ、光った……。なにが、いつ。うっそーっ…… うふふっ」
 ミサイルが上空を飛び交っている。もの凄い数だ。

 朝が来ても会話は終わらない。眠そうな目でカーテンを開けると、ほとんどのビルがない。都会が消えうせ、静寂だけが残った。
 しかし尚も、尚も会話が続く、止まらない会話。
 何度も夜が来て朝が来て、又夜が来て朝が来る。
 窓の外は完全に砂漠になり、生き物さえ見当たらない。全生物が絶滅していた。
 そして雨が降り、雨が降り続き、海底で有機物と無機物が合成して新たなる生命の誕生。
 ――進化。繁殖。 ――進化。繁殖。そして生命の大爆発。
 三葉虫の誕生。魚が海を泳ぎ、魚が地上に上がり、爬虫類になり、哺乳類になり、二本足で歩き出し、火を使い、文明を持ち、そして、ついに、ついに携帯電話が出来上がった。
 その時だ。何事も無かったように彼女の永い会話が終わった。
「じゃあね、また。バイバイ!」
 ……ツーッ。   ?!

                      おしまい。
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またまたお邪魔します!
こういう壮大でミニな感じって大好きです。
視点がいいですね。
勉強になりました。
2010.11.02 23:48 | URL | ヴァッキーノ #- [edit]
勉強などとは、お恥ずかしいです。もう少し何とかしたかった話です。
ありがとうございました!
2010.11.03 14:35 | URL | 松長良樹 #- [edit]


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