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あなたはあした死ぬ

Posted by 松長良樹 on 07.2010 2 comments 0 trackback
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「あなたはあしたの正午に死にます」
 ――その占い師は俺に向かって正々堂々とそう言い放った。悪い冗談と思ったが占い師の眼は少しも笑っていなかった。その眼を見ているうちに俺はむかついてきた。どうやら本気だ。
 何の根拠があってそんな事が言えるのだろう? どう考えたっておかしいじゃないか。俺は極めて健康体だし、もちろん精神病を患っているわけじゃない。
 そう言えば昔読んだ小話に易者が、『死ぬ』と占った人間を殺しに来たという話があったっけ……。
 俺の頭をそんな記憶が過ぎった。実にばかばかしいし、失礼な話じゃないか。

 ならば明日の正午にこの占い師の前に居ようじゃないか。そうだ。この胡散臭い占い師の前に居て『おや? おかしいですね。私死にませんねえ。私の記憶違いでしょうか? たしかお宅は私が正午に死ぬとおっしゃったと思いましたが』
 なんて言ってこの占い師の困り果てた姿を観察して最後に『いい加減な事いってんじゃねえ、このインチキ占い師!』
 位の捨て台詞を言ってやろうと思った。

  *  *

 翌日の正午。俺は会社まで休んで易者の前に立っていた。
 ――時報。
 ここぞとばかり俺は言った。
「あれっ、死にませんねえ。今の時報お聞きになりました?」
 占い師は黙っていた。
「このとおり私はぴんぴん、していますよ」
 すると占い師は暫らく考えあぐねた末、眼を輝かせてこう言った。
「あなたは、一度死んだんですよ。死んで生き返ったのですよ。わからないのですか? わからないのですね、無理もない。こんな事は到底信じられないでしょう。もっともだ。あなたは正午ちょうどに死に、その後数秒で奇跡的に生き返ったんだ。いやあ、凄い、凄い。奇跡だ、まさに奇跡だ! おめでとうございます! あなたはむしろ感謝しなければらない。父に母に、先祖様に。おお、この奇跡の当事者は、あ・な・た なのです。祈りましょう。こうべを垂れ神に、仏に、いや、むしろあなたが祈りを捧げるのは自然の精霊かもしれない。私もここに居合わせた事に感謝し、ここに奇跡に証人として立っているのです。凄い。とにかく凄すぎる! 心から言います。おめでとうございます!」
 俺はその勢いに気圧され、ぼんやりとつぶやいていた。
「……。あっ、そうかなあ、そうなんだあ……」


                     おしまい。
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もう、この占い師の圧倒的な夢中さに
パニックになってしまいそうですね。
ボクは占いは信じませんが、
朝のニュースの占いコーナーで
1位になるとうれしいもんです。
2010.11.07 22:22 | URL | ヴァッキーノ #- [edit]
占いは決してなくならないでしょうね。
中国では人心を惑わすとして規制されていますネ。
ヴァッキーノさん。コメントありがとうございます。
2010.11.07 23:35 | URL | 松長良樹 #- [edit]


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