報復

Posted by 松長良樹 on 14.2015 0 comments 0 trackback
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 その衝撃と言うのはこれを伝えるものの心を切り刻み、完膚なきまでに叩きのめすに違いなかったと思う。口に出すのも恐ろしいし、絶望的で救いもないだろう。
 20××年、地球は空から降ってきたものによって崩壊しようとしていた。
 それも他の者の意志で。他の者とは地球以外の者と言えるし、未知のものとも言えるだろう――。

 それは隕石でもなく、彗星でもなく、まして偶然の産物でもないと思われた。何しろ高層ビルほどの大きさのミサイルの様なものが、地球の表面に接触すると同時に鮮烈に光を放って地響きを立てた。
 最初に異様な軋み音をあげて裂けたのは、文明の象徴のような空に聳える高層ビル群で、ついで、ドーム状の建築物や、愛着のある歴史的建造物が崩壊し、それを見るにはあまりに忍びなかった。だがそれは序章にしかすぎず、時間と共に惨事は深刻さを増した。
 それと言うのもそのミサイルの様なものは一つや二つではなかった。そしてそれらは地球の深部にまで突き刺さり、容赦なくすべてを切り裂いた
 半狂乱で逃げ惑う哀れな人々、地獄の惨状が展開されていき、誰もがどうする事も出来ないでいた。

 が、軍は黙っていなかった。一日目は黙って状況を分析していたが、このままではあと数日で地球が崩壊してしまう事を知ると、そのミサイルらしきものの軌道を精緻に計算できることを確かめ、その軌道を逆に追うような格好で、地球上にある、あらゆる兵器をロケットに搭載して軌道上に放った。おびただしい数の核兵器と言っていいだろう。それは破れかぶれの、復讐であり、報復に違いなかった。

 地球が痛々しい断末魔を迎えた後、ミサイル群は地球からはるか離れた軌道上にあった。そして燃料もついに尽きようとした頃、前方に惑星が出現した。この星こそ憎い敵の星なのだろうか? だがそれは青く輝くうつくしい天体。
 どうしてそれを回避できなかったのだろうか?
 そして、人類は知っていたのではなかったろうか?
 高速で空間を移動するという行為そのものが、時間と空間を奇妙に歪ませるという恐ろしい事実を……。 
 ああ、ミサイルは未来から飛んできたのだ。

                                          end
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