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自白剤

Posted by 松長良樹 on 10.2010 2 comments 0 trackback
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「どうだ。奴は自白したか?」
 課長が心配そうに刑事に尋ねた。
「いえ、こいつはしぶとくてなかなか口を割らないんです」
「そうか。手古摺らせやがるな」
 課長が焦った顔をする。容疑者の男は金持ちの屋敷に侵入し現金を奪ったのだが、あいにく証拠がない為に白をきり通そうとしているのだ。
「刑事さんよお、俺を早く解放してくれねえかなあ。迷惑なんだよ」
 男が嘯(うそぶ)く。
「こいつ、お前が屋敷から出てくるところを見た人がいるんだぞ!」
 刑事が怒鳴った。
「俺じぇねえよ、他人のそら似ってやつだろ」
 この調子だ。 しばらくして取調室から刑事は課長に別の部屋に呼ばれた。
「薬を使うぞ。自白剤だ」
「自白剤……。ですって?」
「ああそうだ。最近科捜研で開発された薬で、犯人の良心に強烈に働きかけてなんでも自白させてしまう薬なんだ」
「でもあれはまだ許可が……」
 刑事が一瞬ためらったが課長が命令を下した。
「この際だ。構わんから薬を使え!」
「わかりました。試してみましょう」
 テーブルに茶が二つ出された。そのうちの一つには自白剤が入っている。
「まあ、茶でも飲んでゆっくり話を聞こうじゃないか」
 刑事が茶を差し出した。

 が、しばらくして妙なことが起こった。
 刑事の目が潤んできたのだ。
「僕は悪い人間です。実は小学生の時スーパーでパンを万引きしました。本当にごめんなさい。それに子供の時、親の財布から千円抜き取りました。ああ、ごめんなさい。僕は悪い人間です。とても酷い人間なんだ。刑事をやる資格なんてないんだ……。それに僕は無実な男を云々……」
 
 ――自白剤を間違えて飲んだのは明白であった。

                おしまい。
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自白剤って飲んでみたいですね。
どんな感じになっちゃうんでしょう?
聞かれたことに何でも答えちゃうんでしょうね。
ショートショートも、お題を出されただけで
すぐにアイデアを自白しちゃったら便利名ですけど(笑)
2010.11.10 21:21 | URL | ヴァッキーノ #- [edit]
ヴァッキーノさん。各作品にコメントありがとうございます。
色々とお読みいただき感謝であります!
2010.11.11 19:09 | URL | 松長良樹 #- [edit]


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