続・天国か、地獄か 他

Posted by 松長良樹 on 25.2016 0 comments 0 trackback
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★続・天国か、地獄か
 九十九人の人を殺した殺人犯が死刑になり、エンマの元にやってきた。男は自分のしでかした悪行の反省をするどころかふてぶてしい態度でエンマに対峙した。
「やい、エンマさっさと俺を地獄に落としやがれってんだ!」
 エンマはじろりと男を睨んでから、こう言った。
「いや。惜しいね。ほんとに惜しい」
「な、なにがだ?」
「いやね、わたしは十とか百とか千とか、切りのいい数字が好きなんだ。だからもし仮に君が百人殺したなら、天国に行かせてやろうと思った」
 男はエンマを二度見してから、こう言う。
「な、なんですって?! ――実は、俺もう一人殺しているんですがね。エンマさん、世間にばれてないだけで」
「だめだめ、嘘はわたしには通じないよ」
「ちぇ、しょうがねえや、さっさと地獄に行かせろてんだ」
「まあ、待ってよ。悪人がみんな判で押したように地獄にいくなんて古いよね。新鮮さがないんだな」
 男がまたエンマを二度見した。
「あんた、自分を殺しなよ、そうすりゃ百人だ」
「ええっ! 自分を殺す?」
「そうだよ、あんたもう死んでるのだから、こわくないでしょ」
「そうですかい。よしっ、天国に行かれるなら、自分でもなんでも殺しましょう!!」
 男は自分で自分の首をしめた。
 ◇ ◇
 男が目を開けるとエンマがいる。よく見るとさっきのエンマと違うようだ。
「はい、あんた地獄行き」
「ええっ?! 話が違うんだがねえ、さっきまでいたエンマにきいてみろよ」
「ああ、彼は先ほど転勤しましたよ」
「ええっ!! そんな、百人で俺は天国行きなはずなんだぞ!」
「ばか! 悪人は地獄行き、昔からそう決まってるでしょうが」

               おしまい

 ★火事

 火事場で男がガソリンをまいている。そこに駆け付けた消防士が驚いて男に怒鳴った。
「あ、あなた! なんでガソリンなんか、かけているんだ!! 気でも違ったのか」
 男が神妙な顔で答えた。
「いやね、家の保険、全焼でないと下りないんですよ」
 その近くに大きな消火器を使って懸命に火を消そうとしている男がいる。
 消防士が声をかけた。
「すごい消火器ですね、ところであなた誰です?」
 その男も神妙な顔で答えた。
「わたし、保険屋です」

               おしまい
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