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素晴らしい水族館

Posted by 松長良樹 on 28.2016 0 comments 0 trackback
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 そこはすばらしい水族館だった。
 オサムはデートコースにここを選んで正解だったなと、ほっと胸を撫で下ろす。お決まりといえばお決まりなのだが、ともかくミユキは喜んでいるようだった。付き合い始めて半年にもなるのに、ミユキは手も握らせてくれない。
 オサムはミユキが好きでたまらないのに、いまいちミユキのこころが掴めない。今宵こそはとオサムの心は高鳴るばかりなのだった。
 それにしても大規模な水族館で全国でも有数というのは本当だった。中でもアトラクションで巨大水槽の中を水着姿の美しい女性が泳ぐのが呼び物だった。
 それが始まるとオサムは魚たちと一体になって泳ぐ美女につい、魅せられてしまった。とても優雅で心が癒される。
「すごいね、綺麗な女性だね。ミユキ……。 君も水泳が得意なのだろう、ここでバイトでもすれば」
 冗談のつもりで言った言葉にミユキの反応がない。
「……」
「気持ちよさそうに泳いでいるね」
 ミユキが妙な顔をする。
「どうかした?」
「誰も今日は泳いだりしてないわよ」
「えっ?」
「オサムさん。あなたニュース知らないの? もう一週間も前にここのアトラクションで人気の女の人は自殺したじゃない。当分アトラクションはお休みよ、ははぁ……。わたしをからかっているのでしょ。いやだわ、そういうジョークって好きじゃないし」
「ええっ!! 本当、それって!」
 ――オサムは何度も、何度も目をこすった。


 それから数か月が経った。ミユキはオサムときた水族館にいる。ただし、相手はオサムではなく別の男だった。
「わあ、おーっ! すごいね、彼女素敵だね」
 水槽の前でイケメンの彼が歓声をあげた。
「ええっ、!!? あなたニュース知らないの??」


 そしてミユキは心でこう思うのだ。
 ――わたしより、アトラクションの女に惹かれるなんて、最低な男だわ。彼氏失格だし……。 誠実で、いつもわたしだけのことを想ってくれる人でないとだめだわ。そんなの常識よ――。


「まさか幽霊!」
 イケメンが高い声でそう言った。

            おしまい
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