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シマウマとライオン

Posted by 松長良樹 on 12.2010 0 comments 0 trackback
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 ――あるところに動物の国がありました。体は確かに動物でしたが、彼らは人間みたいに考えることが出来たのです。


 サバンナに足の速いシマウマがいました。そのシマウマは子供のころから俊足で誰にも負けたことがないのでした。彼は先天的に足が速いだけでなく、いつも走って脚を鍛えていました。そうです、まるでオリンピックの選手のようにです。
 それに彼は頭もよく、進化論が好きで自然淘汰という言葉に傾倒していました。優れたものが生き残り、子孫を残す。適者生存こそ自然の摂理である。
 彼は本気でそう考えていました。どういうことかというとサバンナにはライオンがいて仲間がよく犠牲になるのでした。
 足の遅いものは喰われても仕方がない。足の速い者のみがライオンから逃げおおせ、生き残るのだ。彼は非情にこう考えていました。
 だから彼はまるで時には気でも違ったかと思える程走りました。走って走って強靭な脚を自分で確かめられずにはいられなかったのです。

 あるときついにライオンが群に近づいてきました。腹を減らして凶暴な顔をしています。しかし彼には自信がありました。絶対にライオンにはつかまらない自信です。
 しばらく様子を見ていたライオンは、いきなり群れの中に突進してきました。仲間は恐怖に駆られ死に物狂いで四方に散りました。
 彼は余裕でそれを見ていました。そして自慢の俊足でそこから一気に駆け出したのです。しかし思わぬことが起こりました。ライオンは他のシマウマには目もくれず、彼だけを狙って襲ってきたのです。
 なんと簡単に倒せるシマウマが目の前にいるのに見向きもせずにです。さすがの彼もパニクリました。
 さらにライオンは信じられないほどの瞬発力と持久力で彼の首筋に牙を突き立てたのです。彼の意識が遠のきました。
 まさに白日夢を見るようでした。

 彼を食べ終えたライオンに仲間がこんなことを訊きました。
「なんでまた、あんな速い奴を狙ったんだい?」
 するとそのライオンは一瞬きりりとした顔をしてこう言い捨てました。
「――俺は奴に勝つために奴の十倍走りこんでいたんだ」
「……凄いよおまえは」
 しげしげと顔を見て仲間がそう言うと、そのライオンは続けて言いました。
「そうとも。あういう奴に子孫を残されたら、俺の子供たちが苦労するに決まってるからな」


                   おしまい。
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