雨と王国

Posted by 松長良樹 on 27.2016 0 comments 0 trackback
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 むかし赤道直下に王国があった。その王国をある歳、飢饉が襲った。日照りが異常に続き、河が干上がり作物は枯れ果てた。深刻な事態だった。
 餓死者が出ない前に王は牢獄の犯罪者をすべて処刑した。そしてこう言った。
「誰でもいいから雨を降らせてみろ。そうしたらそのものを士官とした上に、わしの財産の半分をやる」と。
 すると体中入れ墨だらけの呪い師が現れ、その場に座り込み天を仰いで祈祷を始めた。しかし三日経っても雨は降らなかったので呪い師は牢獄につながれた。
 二人目に現れた女は王に神に皆で祈りましょうと、民衆を巻き込んで『雨乞いの唄』なるものを歌わせたが、雨は降らず、結局牢獄につながれた。

 三人目の男は訳もなくニヤニヤ笑っている男だったが、王の目の前に雨を降らせた。
 王は一瞬喜んだがそれも束の間で、調べてみるとその雨は、城の中に密かに蓄えられていた瓶の水を仲間を使って木の上から、布袋に細かい穴をあけて降らせたものだと分かった。王はそれを知ると激怒し、仲間もろとも牢獄に入れられ、死刑を宣告された。

 雨が降らなかった。ついに体力のないものから死人が出、民衆は悲嘆にくれた。

 四人目の男は背の低い浅黒い顔の男だった。その者は王の前に現れてこう言った。
「自信はないのですが、これでたぶん明日には雨が降りましょう」
 王は頷きはしたが、今までの件を鑑みて信じておらず、雨が降らなかったら処刑するつもりだった。
 が、翌朝になって雨は降った。身体に染み入るような救いの雨だった。民衆はこれほどに雨が有難いと思ったことはなかった。

 王は男に雨を降らせた方法を問うと、男は自分の家に王を案内した。そして軒先に吊るされた白い布製の人形を指さした。なぜかその人形は逆立ちしている。王がこれは何だと問うと、男は少しはにかんで答えた。
「これはフレフレボウズ、というものです」

 この男は東洋人であったと推測されるが、気の優しい人物だったらしく、王にこう進言した。
「王様、雨が降ったのですから、雨を降らすのに失敗した連中の罪を水に流してやってください」
 王はしばらく考えてから深くうなずいた。


               おしまい
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