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黒猫

Posted by 松長良樹 on 15.2010 0 comments 0 trackback
迪ォ_convert_20101115190531

 その猫好きな老人は、いつも飼い猫に話しかけていた。
 一人暮らしなので話す相手もいないのだ。
「なあクロ、おまえはわしのいう事がわかるんだろう?」
「……」
 ――猫は黙って老人を見つめている。
 当たり前の話である。
「今年も冬が来るなあ、おまえの嫌いな冬がよお」
 老人は優し気な含み笑いをした。
 人懐っこい猫であった。まるで犬のように老人の鼻先に額を擦りつけてくるのだ。
 
 あるとき老人は自分の死期を悟るとちょっと寂しそうにこう言った。
「最後にわしはおまえとおしゃべりがしたかったよ」
 そして老人がため息をつき、安らかに息を引き取ると、なんと黒猫が流暢にしゃべりだした。
「猫にしゃべれって言われてもそりゃむりだ。ただ俺みたいな化け猫なら話は違いますがね。でも化け猫は正体がばれないように人前では硬く口を噤んでいる」
 黒猫はピンと背筋を伸ばして老人を見つめた。
「ご主人。今までありがとさんでした。せめてものお礼に冥土にはこの俺が連れて行きましょう」
 と、いつも間にか霊になった老人がやさしく猫の頭を撫でた……。

                     おしまい。
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