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幸福という名の怪物

Posted by 松長良樹 on 22.2010 2 comments 0 trackback
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 これは中国大陸にまだ幾つもの国があって勢力争いをしていた時代の物語である。

 あるとき、ある国に大そう汚い乞食のような者がやってきた。その男は、大きくがっしりした図体をした図々しくて横柄な男だった。男はいきなり神聖な社(やしろ)の横に粗末な小屋を作りそこに住み着いてしまったのだ。
 国の人々が驚き、呆れて立ち退くように言うと、男は自分は福の神でこの国に幸福を与えに来たと、自信たっぷりにそう言ってのけた。
 最初は多少頭の可笑しな者だと思って国の人々も困ったが、何しろ腕っぷしが強そうなのと、特に悪さをするわけでもないので、それを知った役人達も寛大に処したのだ。そのまま月日が流れてしまった。
 そしてある時こんな噂がその国に広まった。なんでも年寄りの孫(ソン)が何を思ったか、その男のところに出向き、最近腰が痛くて大そう難儀しているから、お前さんがもし神様だったら腰痛を直してはくれんかと酒まで持参して頼んだところ、たちどころに腰痛が完治して、今では若者にも負けないほど畑仕事に精を出しているというのだ。
 それを機に男が福の神だという説が国に広まった。なぜなら、それと同じようなことが頻発して起こったからだ。
 子煩悩の親が出来の悪い息子を士官させたくて、同じように男のところに金貨を持って頼みに行くと、男はそれを引き受け、どんな手を使ったか詳しく解らないが、立派な国の役職につかせ、今では親子とも裕福な生活をしているという。
 奇跡とはいかないまでもそれに近い事例が後を絶たず、それが国中に広まったのだ。
 しかし中には全く期待外れに終わった例もあり、それを信じるものとそうでない者が二分されてしまった。まあ、どっち着かずの傍観者も数多くはいたのだが。
 男を神だとする一派は彼にきれいな服と住まいと、ご馳走を与え、真剣に願いを頼むのなら彼はきっと願いを聞き届けてくれると主張したし、不信派は逆で男は気違いで、妄想癖のある始末の悪い悪党だから、即刻とらえて牢獄に入れるべきだと主張した。
 そしてお互いが相譲らなっかったのである。

 しかし、決定的なことがついに起こった。
 あるとき盲目の少女、依林(イーリン)が両親に連れられて男のところを訪れた。親が大金を出すから、この気の毒な子の眼を直してあげてほしいと頼むと、男はこの目は直さないほうがいい。直せば思ってもいない不幸に遭うと言ってそれを断ってしまった。
 このことが地位のある親を怒らせてしまったのである。時の大臣であった少女の親の司馬(シバ)は、この男はまったく神などでなく、何の能力もない盗族の類で、私欲の為に人心を惑わせるとは不届き至極だと朝廷に進言したのである。
 兼ねてからの噂や、二派の対立を知る皇帝はそれを重く受け止め、考えあぐねた末、男を国外追放してしまったのである。
 男はその際、恐ろしいほどの形相をして必ず後悔なさいますよ。と不吉な言葉を言い残したのである。

 それから数年して男は隣国で名をあげた。神としてではなく、武将としてである。男は並みならぬ腕力と知恵で数々の武勇伝を打ち立て、国王の右腕として召し抱えられるまでに至ったのだ。
 そして男は王に戦略を持って我を追放した隣国に攻め入り。これを征服することを提案した。男は根気よく王を説得すると王もその気になり、ついに戦いは始まった。
 そしてその男の指揮のもと、わずか数か月であの国は滅びてしまったのである。

 ――その際、男を神とした一派は国を裏切り、彼に加勢した。 
 尚、男はその事が済むと、武勲など棚に上げ、幸福の神として神社の横に住んで皆の願いを叶えたと云う。

                  おしまい。
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歴史ロマンですねえ。
七福神ってのは、神社の神様だと思ってたら、仏教の神様だったんですね。
インドの神様から来てるみたいですけども。
貧乏神だと思ってたら、福の神だったって話はありますけど
なるほど~。
賛否両論の神ですね。
なにごとも賛否両論ってのが長く続くコツですから、こういう話もいいもんですねえ。
2010.11.23 10:49 | URL | ヴァッキーノ #- [edit]
ヴァッキーノさん感想いつもありがとうございます!

この話は結末に悩んだ話で、どうもまだ手直ししたいところです。
神様の取り扱いは難しいですネ。
2010.11.23 23:27 | URL | 松長良樹 #- [edit]


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