角(つの)

Posted by 松長良樹 on 07.2010 0 comments 0 trackback
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 ある時、玲奈の頭に小さな角が生えた。
 それはあまりに突然だった。玲奈は悩み苦しんだ。
 そのはずである。彼女は高一になったばかりの乙女なのだから。
 何の因果か、呪いか、先祖に鬼がいたのか、さっぱりとわからない。
 可愛くて男子に人気の玲奈は塞ぎ込んで学校に姿を見せなくなった。
 両親が心配して医師に診せると、切るほかないと医師が言った。すぐに切除された角だったが、安心したのも束の間またすぐ角は生えた。
 お先真っ暗、死のうかと思った。
 そんな時、最愛の彼氏、久司が彼女を心配して家に訪ねてきた。かれこれ一か月は会っていない。彼を避けていたからだ。
 玲奈は彼に向い思い切って言った。
「久司、あたしにはこの通り角があるの、あたしは化け物だから、もう付き合ってくれなくていいよ……」
 大粒の涙が溢れた。
 久司は驚いて帰ったが、一週間すると再び家に来てこう言った。
「実はねえ、僕にも角があるんだ。隠していてごめんよ」
 彼の帽子の下には紛れもない角があった。
 玲奈が驚き、そして笑った。それからも二人は恋人同士だった。

 ――心優しい久司は玲奈の為につくりものの角を作ったのだ。

   *  *

 ある時、玲奈の頭の角が落ちた。玲奈は喜んだ。
 しかしどういうわけか、久司の角が頭から取れなくなった。
 どうやっても取れないのだ。

 暫らくして玲奈は久司にこう言った。
「なんであなたの角は落ちないの? あたしやっぱり、角のある人とは付き合えないの、ごめんなさい」
 色香を身にまとった玲奈はイケメンの勇二と付き合いだした。
 それは玲奈のあたらしい人生の始まりであった……。

                  おしまい。

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