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――女心、計り難し。されど男心、尚もまた察し難し。

Posted by 松長良樹 on 17.2010 0 comments 0 trackback
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 ユウイチがためらいがちに言った。
「カナエ。最近、僕を避けてないか?」
「……そんな」
「だって、なかなか会ってもくれないじゃないか」
 カナエが俯いて言った。
「最近、ユウイチが変わったから……。以前のユウイチのほうが好き」
「前の僕は無口でろくにしゃべらなかったし、暗かったでしょ」
「でもあたし、そんなユウイチが好きだったの」
「……」
「今のユウイチは前向きだし、おしゃべりで明る過ぎるのよ」
「楽しい男のほうが好きじゃないの?」
「あたし、根暗で陰のある男に惹かれるタイプなの」
「以前の僕は受験に失敗し、親にも死なれて落ち込んでたんだ」
「でも、そんなユウイチが好きだったの。守ってあげたかったのよ」
「えっ、あの頃の無気力な僕が好きだったの? 今は立派に職についてがんばってるというのに」
「がんばってる人って好きじゃないの。悩んで落ち込んでないとだめなの」
「……そ、そんなのってむりだよ」
「じゃ、終りね」
「君がそんな男が好きだったなんて知らなかった。僕はそんな男に戻る気はないし、あきれたよ、君なんかこっちのほうからもらい下げだ。さ・よ・な・ら」
 ユウイチが立ち去ろうとすると後ろからカナエが叫んだ。
「でも、あたし女をふる男は大好きなの!!」
「……そんなこと言われたって、そんなこと……。やっぱりカナエが好きだ!!」
「そういう風にすぐ女を許す男はあたし嫌いなの!」
「……そうなんだ」

               おしまい。


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