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青い瞳のエミーナ 10

Posted by 松長良樹 on 31.2010 0 comments 0 trackback
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 乗れと言わんばかりにサングラスの男が高林の肩をこずいた。高林とエミーナが車内に乗り込んだ。三人とも後部座席だ。サングラスの男二人は驚くほどよく似ていた。
 オールバックの髪形に黒のスーツ。背格好も殆ど同じだ。身長180センチはあろうか。ただネクタイの色だけが違っていた。運転している男は青いネクタイをしている。相違点はネクタイの色位しかなかった。銃を持つ男は赤いネクタイだ。
「目隠しをさせろ」
 アクセルを踏むのと同時に青いネクタイの男が言った。
「わかった」
 と言って赤いネクタイの男が車中にあった黒布を掴んだ。高林の顔に巻きつける。

 高林にはその時間が数分にも数時間にも感じられた。車の停止する音がして高林は車から降ろされた。眼隠しが外されると高林が反射的にエミーナを探した。姿が見えない。
 高林の降りた場所は駐車場だった。四方は壁に阻まれている。ホテルの地下駐車場という雰囲気だった。運転をしていた男とエミーナは既にその場にはいなかった。
 エミーナのヒールの音と男の革靴の音がどこかへ消えるように遠ざかったのを高林は覚えていた。
「来い」
 そう言って赤いネクタイの男が高林の二の腕を掴んだ。車から降りて真っ直ぐに進むと大きなガラス張りの自動ドアがあった。ホールに入りエレベーターに乗り込む。
 ホテルを思わせるつくりだったが客が誰一人いない。16階のボタンに男が触れた。
 高速でエレベーターが走った。ドアが開きエレベーターから降りると広いフロアだった。更に進み、黒い頑丈そうな丈高いドアの前に立つと音も無くドアが開いた。
「連れてまいりました」
 と男が言った。広く大きな空間にステージのように段があり、その上にテーブルと椅子があった。その周りは航空機のコックピットを思わせる機材とコンピュータがびっしりと並んでいた。椅子から男が立ち上がった。
 長身の初老の男だった。鷲のような鼻と鋭い眼光を放つ眼を持っていた。
 黒い薄手のセーターを着ていて、ウエーブのかかった長髪をしていた。
 誰かに似ていると高林は思った。絵の好きな高林は即座に思い当たった。カイゼル髭こそ無いが画家のサルバドール・ダリを彷彿とさせる佇まいであった。
「まあ、座ってくれ高林君。私は西条と言う。以後よろしく願いするよ」
 男はそう言って椅子を高林のために引いた。高林が椅子にかけるのを躊躇った。
「エミーナだって。いい名だねえ。あの娘に合っているじゃないか」
 鋭い覇気のある声だった。
「君のことは全部調べさせてもらった。学生さんだね」
 男は腕組みをして考え込んでみたり、眼を輝かせてみたり、めまぐるしい動きを見せた。
「あのトイレから君が出るのが後10秒遅かったら君はここに来なかった。あの娘と会わなかったからじゃ。しかし会ってしまった。今となっては取り返しは付かない」
 男が鷹のような眼で高林を睨んだ。
「いいか。全てを話すから君に協力してもらいたい」
 全く呆然として高林はそこに立ち竦んでいた……。

                            つづく



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